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第13話 それは、一瞬の出来事でした

「校舎の昇降口に颯爽と現れた一人の人物。それは、立体的な馬の仮面を被り、全身茶色のタイツを身に纏っていた。そして、手にはとても高そうな篭手をつけ、手には警棒のようなものを持っていた。人々は、その人物をこう呼んだ。ホースマンと」

「呼んでねぇし、勝手なナレーション付けるな!」

 後ろでクスクス笑いながら秋山は悶え苦しんでいた。

「ちくしょう。恥ずかしい……。でも、こうでもしないと自分の素性がバレてしまうし……」

 俺は、とりあえず、馬のマスクについていた毛を整えるジェスチャーをし、右手をクイクイとして相手を威嚇した。

「なんだーおまえわぁぁぁぁ!!」

 目の前で、筋金入りのキモいメガネが発狂し、俺の方に向かって包丁を振り回しながら突進してきた。

「ひゃぁぁぁぁああああ!!」

 男は、俺の前でジャンプをした。それは、到底人間業とは思えないほどの跳躍力であった。俺は、一瞬の虚をつかれ背後を取られてしまった。

「つーかまえた」

 男は、頬に笑みを浮かべて手に持った包丁を突き刺そうとした。

「やばい!」

 思わず声に出てしまったその言葉の瞬間、とっさに篭手を付けた右手を背中に回した。そして、その背中に回した右手は包丁を弾いた。

「ぎきい!」

 男は、また訳の分からない言葉を発していた。

「ふぅ。なんとかなったか」



 その場には数名の生徒は居たはずだが。なぜだか、この日の騒動のことは誰一人として覚えては居なかった。誰に聞いても、そんなことはあったっけかととぼけるばかりであった。この後、俺は華麗に相手の包丁を受け止め、まっ二つにしたあと脳天に向かって垂直に警棒を振り落とし、あの変態メガネ野郎を撃退した。しかし、これほどまでに印象に残っているはずなのに、誰一人として覚えていないと言う。

 誰かが、なにかの薬で生徒達の記憶を操作でもしたのだろうか。俺は、謎が謎を呼んでいるような気がした。



「森本先輩の所に行かないと」

 俺は、そう言って秋山タイチを呼んだ。彼は、相変わらず笑いこけていたので、背中を一発蹴り直ちに向かわせることにした。


「で、場所はどこだっけか」

「いま、GPSで確認する……移動しているようだ。どうやら、学校の裏山の方になる。たぶんこの場所は、海の方にある高台の公園だろう」

「って、結構遠くないか」

「遠いな。走っても一時間以上はかかる。自転車でもあの山道はキツいな」

「どうするんだよ」

「うーんそうだな。よし。タクシーを使おう」

「これから、お姫様を助けに行くっていうのに、随分と現代的な乗り物を使うんですね」

「君の使用している武器もよっぽど非科学的な代物だけどな」

「そうですか。はいはい」




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