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第11話 森本ユキがさらわれた?

「で、これはなんなんだ? 」

「これ……は……っと」

 秋山タイチは、タケルに言われたものを持ち上げた。

「ああ。これは失敗作。ガラクタだよ。竹刀を改造して中から、ロケット弾を発射しようと思ったんだけど……」

 ロケット弾。いや、なにに使う気だ。そんな相手がいるのか……。

「まぁ、ロケット弾が手に入らなかったからね。だから、未完成、いやガラクタさ」

 それはそうだ。そんなモノがそう簡単に手に入る国ではないはずだ。

「それで、今日はなんのために俺は、呼ばれたんだ?」

 俺は、話を切り替えた。さすがに、ロケット弾の話を長々と聞くほどの暇はない。

「ああ、そうだったそうだった。君にもそろそろ前線で戦ってもらいたいんだ。森本君一人よりも二人のほうが良いと思ってね」


 俺は、先日のどこかのビルの屋上での一件以来、彼らとの距離がぐっと縮まった。命を助けてもらったような命を助けたような複雑な状況ではあったが、とにもかくにも彼らとは少し仲良くなってしまった。やることもない。仕方なく、彼らの話に加わることにした。が。いきなり、放課後に茶道部の茶室の前に来いと呼び出されてしまった。俺は、きっと茶を飲みかわし誓いの儀でも執り行うのかと思っていた。しかし、違っていた。どうやら、茶室ではなく、その奥の扉に用があったらしい。秋谷タイチが現れると、こっちだと言って俺をその扉の前に連れて行った。

「ここは、俺たちの隠れ家。一応部室となってる。部室の前は倉庫になっていたんだけど何もなかったんだ。モノを奥には狭すぎるとかなんとかっていう理由で。僕もよくわかってないんだけどね。まぁ、とりあえず入ってよ」


 と、こんな感じで呼ばれ今に至るわけだ。

「おい、聞いてるか?」

 俺は、ぼーっとしていた。

「ああ、聞いてる。えっと、森本先輩がさらわれたって?」

「さらわれてなんていないぞ!やっぱり聞いてなかったじゃないか。まぁ、いい。もう一度説明する」

「ご、ごめんなさい」

 俺は、秋山タイチから説明を受けた。俺用の武器らしい。大きさは……手にすっぽり入るという感じではなく少々はみ出すくらいの大きさで、見た目は電卓のように見える。しかし、小さな液晶とボタンが3つしかない。

「これは、1ー3の形態をもつ武器だ。ボタンを押して上に投げると形が変形するんだ。やってみろ」

 おれは、1のボタンを押して上になげた。その瞬間、きゅっきゅっと音がなりその姿を変えた。電卓のような形から細長い棒になった。長さ的には、そんなに長くなく30センチの物差しくらいといったところか。

「それは、スタイル1、警棒的な役割を果たしてくれるはずだ」

 俺は、一つ疑問に思ったことがあったので質問をした。

「ちょっと待って。俺たちが相手にするのは、怪物みたいな敵だろ?こんなじゃダメージも与えられないんじゃないか?」

「それもそうだ。でも、敵が怪物とは限らない。人間かもしれない。そういう意味での武器だ。まぁ、怪物や魔物でもダメージは与えられるさ。君だって前回モデルガンのグリップで敵を倒したろ?」

 たしかに。

「ということだ。で、残りのスタイルについては説明する時間がないみたいだ」

「なんで?」

「ちょっと、用事あるんだよ」

 秋山は自分の腕時計を指差して答えた。

「なるほどね。デートかなにかってとこですかな」

 俺は、ニヤニヤしながら返した。

「んなじゃないよ。そら、お帰り」

 手であっちにいけというジェスチャーをしてきた。俺は、はいはい、と言いながら部室の扉を開けて部室を出た。




「こちら、目的地に着いた。どうぞ」

「標的はそちらを通過したのか?」

「いや、まだだ。」

「では、引き続きそちらで待機していてくれ」

「了解」

 言われたとおり、俺は、陸橋のしたにやってきた。本当にターゲットはここを通るのだろうか。メガネをかけた女の子らしい。そんな容姿の人間はいくらでもいるような気がしないでもないが。まぁ、いい。これは仕事だ。言われたことを全うするだけだ。

 俺は、この場に立ち始めて一時間が経った。俺は、人通りを気にしたが、どうやらここは人通りが少ないらしい。人通りが少ないおかげで俺はこの場所に違和感無く待ち続けることができた。そして、どうやらターゲットとおぼしき人間がきたようだった。


 俺の目の前を背があまり高くないメガネをかけた女が俺の前をとおりすぎた。制服を着ている。この近くの高校の制服だろうか。まぁ、そんなのは俺にはどうでもいいことだ。よし、ターゲットに接触しなければ。

「あの……」

 俺は、声をかけた。

「はい……?」

 可愛らしい華奢な声で返事が返ってきた。

「道に迷ってしまったんですが、駅ってどちらでしょうか?」

「駅ですか……えっと……あっちですかね」

 女は右手で左側をさした。

「そうですか。ありがとうございます」

「いえいえ」

 そういって彼女は、指した左側とは逆の右側の方へ歩いて行った。俺は、左側に行くふりをして彼女の方へと歩いた。

「あの……」

 俺は、声をかけた。

「はい?」

 女は振り返った。その瞬間、俺は女の口元に睡眠薬の塗ったハンカチを顔に当てた。彼女はふらっと意識がとび、つけていた赤いメガネが地面にゆっくりと落ちていった。

「すまない。これも仕事なんだ」

 俺は、仕事を終えるため、雇い主に連絡をすることにした。



 シルバーフレームのメガネが本屋できらりと光っていた。

「ようやくだ。ようやく……」

 シルバーフレームのメガネは、一つの本を手に取り満足そうな表情をうかべてレジにその本を持っていた。

「いらっしゃいませー」

 店員はバーコードをうち値段を確認した。

「1260円になります」

 シルバーフレームのメガネは2000円をだし、おつりをもらいお会計を済ました。

「ありがとうございましたー」


 歩いて帰り、家に着くとシルバーフレームのメガネは本を袋から取り出した。

「ふ、ふ、ふは、ふはははははははははは!」

 シルバーフレームのメガネは、新人のグラビアアイドルの初写真を買うことができ、この日は満足したのであった。








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