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第9章その2
ハジメの話が一段落するのを待っていたかのように、訪問者が扉をノックする音が聞こえた。ハジメが中に入るように促すと、カエルに似た、緑色の顔をした人物が姿を見せた。
「ナナセさん、いらっしゃい」
ハジメが機嫌良く、あいさつをする。ナナセは軽く会釈をし、勧められた木の椅子に腰をかけると、深刻そうな表情を浮かべ話し始めた。どうやら亭主とケンカ中で、ここにはそれを愚痴りに来た様子であった。
ハジメの横で、しばらくナナセの話に耳を傾けていたトムは、自分の胸が、だんだん苦しくなってきたのを感じた。ハジメの方を振り返ると、彼の胸元から、光の筋がナナセの胸元に向かって流れ出しているのが分かった。
トムは驚きのあまり、声が出せなかった。
その後も約一時間、ナナセの話は続き、ようやく満足したのか、来た時よりは随分とすっきりした顔で帰って行った。彼女がその場から立ち去り、ようやく、トムも息苦しさから解放されたのであった。




