車両基地
—車両基地—
雪が積もる中、夜明け前に車両基地に侵入した
有刺鉄線を登る
カッシャァーン……
カッシャァーン…
服は裂けたが、進み続けた
サッ……サッ……
ネイサンは素早く動く、それに合わせ続いていく。
ギアヘッド動員法により生身の軍隊は解体された
彼らは反発し、北の島へ向かった軍の一派
“北安領事団“
軍隊は再びこの国に戻ってきた
この車両基地は北安の輸送の要だ。
貨物コンテナを使い見張りの目から逃れながら、始発の準備をする列車に近づく。
スル…スル…
後ろから二つ大きな気配がした
「くそなんで俺たちこんなクソ吹雪の中、
仕事しなきゃなんねんだ」
「こんなところに入るやつなんていないだろ」
二人の警護兵が接近してくる、
まだ気づかれてはいない、
吹雪が義体を隠す
ネイサンは車両の下へ身を隠す、後に続いた、警護兵はすぐ近くに。
「あぁさっさとかえりてぇ
この邪魔クセェマスク外してタバコ吸いてぇよ」
二人の警護兵は軽機関銃を持ち重装甲の
フルフェイスマスクで、顔を覆い
オレンジ色の目を光らせながら
車両を一つずつ点検していく
一つまた一つ、
こちらへ近づいてくる…。
「異常なし!」
警護兵が車掌に合図を送り
列車はエンジンの準備を進め始める
離れていく警護兵を尻目に車両が動く。
中を急いで這い出る。
始発しかけている貨物コンテナを二人で開け
中に飛び乗り、すぐに扉を閉めた
ネイサンは疲れ切っていた
「栄養剤をくれ…何か味わいてぇ」
背負ってきたバックを開け
人差し指ほどの緑のカプセルを手に持ち
ネイサンに渡す。
ネイサンはジャケットを開き、
胴体の右側面にあるプラスチックの
開口部を
カチャ…と開き空のカプセルを外してから
中にカチッとはめると
栄養剤は内部のチューブを通っていき
突き刺さったチューブが
脳にそのまま栄養を入れる。
それに続く、ネイサンとは
違う場所に開口部がある
首の付け根に四角い立方体があり
鉄製の開口部を開け栄養剤を注入した。
コンテナの中は豆電球で
温かみのある色をしていた
列車は走り出したばかりだ。
カタン…カタン…
徐々に早くなる、ネイサンはジャケットを
ガサゴソと触り、折り畳まれた線路図を取り出した。
マーカーでこの線路の
ルートが塗られていて
ネイサンがこちらの右側に立ち説明する
「この列車は北安の基地に
着くまで止まらない」
「いいかぁあんたの
目的地は首都だ行くには…」
ネイサンは指を路線図にたどりながら向け
「ここ第六区画を抜ける必要がある」
首都は六つの区画の中央にあり
アクセスするルートはいくつかあったが
慰霊碑が立てられた後、
ルートが崩壊したらしい
正規のルートは規制され
北安が監視している。
「後のことは自分で頼むぜ」
「俺は別の場所で飛び降りて」
「”電脳通信“用の義体に改造する」
ネイサンの目的は“スパークカード”
記憶ではなかった“電脳”という
電子の世界に入る改造を受け
最後の時を過ごすのだと。
最後にトランプで勝負をした
今度のカードは…
「おい嘘だろ!…」
ネイサンがワンペア、こちらがツーペアだった
「こんなのないぜ…もっとでかい数字に負けたかった…」
ネイサンは首を傾ける
「まぁいいさあんたに“幸運”あれ」
その後、ネイサンは自分の
目的地周辺に飛び降りた。
コンテナの中は静かになり、勝ったカードを見て
外へ投げ入れた、片側だけの写真を取り出す
少女が写っていた。
ぐしぁ…
握りしめ投げるそぶりをしたが
すぐにシワをなおしポッケに入れた
バックで視界を覆いひたすら待つ。




