記憶
—記憶—
“505”号室
団地の部屋の前に立っていた
手は鉄ではなく
生身の身体。
風が冷たい、匂いがする
冷たい空気が肺に送られている
呼び鈴を鳴らす
ジー……
ガチャ…
扉が開き、その中を進む。
玄関で靴を脱ぎ
部屋へ入る、明かりはついていなかった
扉を開けるとリビングに出た
机が置かれていて、窓が開いていた
サァー…サァー…
風が冷たかったから窓を閉め、
後ろを振り向く
「ふふ」
少女が立っていた、悪戯な笑顔で
じっと見つめてくる
茶色の髪で短く切っていた。
瞳は青い
近づいてくる……
少女は片側が裂かれた写真を手に乗せ、
か細い声で
「私を、見つけて」
戻るよ、君の部屋に
ぉぃ
「おい!ファング!」
目が醒めると、ネイサンが
身体を揺さぶっていた
「急に椅子から倒れやがって
大丈夫かよおい」
手にはその写真が握られていた…
「おいおいおいゆっくりだよゆっくり!」
写真をポッケに入れると
バックからストックしていた
発声器を机に置いた。
「おーいおーい…」
ネイサンが顔を見つめてくる
「よーしぃ取引成立だぁ」
パンパン!と肩を叩かれ、義体が傾く
「大船に乗ったつもりでいろよぉ」
「“幸運のネイサン“だぞ!」
ネイサンが肩を叩いていると
ブラウン管テレビは
ドキュメンタリー番組に切り替わる。
――ラダブ光路主義が爆弾を起爆してから「ズズッ」
七カ国の首都の爆心地は光点と呼ばれ…
起爆直後、閃光を残し続けました
光は収縮の兆候を見せていますが、
未だに光続けて周囲を汚染しています…
汚染の範囲外の慰霊碑には…
“ただ願う彼らが安らかなところにいると”




