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[GEAR HEAD]  作者: 地位分沢口
第二区画
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47/50

人間椅子

—人間椅子—


 女の手から、何か放たれた残像が見え、影から何かがぶくぶくと膨れている。泡が肉に変わっていくような

「「エゲギィィ……!」」

 奇声が聞こえた嘲るような。肉は椅子のような形に変わった

タンッ

 “椅子“が飛んできた、楕円を空中で描き

 こちらへ突っ込んでくる。

 シュッ

 義体を左へ避けさせる、

 右側から、床へ受け身を取る。

 パスッ

 グル

「「ギィィ……!!!」」

 “椅子“には目と口がついていた

 人間の皮膚が、椅子の真似をしているようだ。皮膚を無理やり引き伸ばして

 加工したようにうっすらと皮膚の血管が

 青い血管が薄く伸ばされた皮膚から滲んでいる“椅子“は気味の悪い

笑みを浮かべているような気がした。

悪意を持つ意思を持ち合わせているかのような

 「「エゲギィィ……!!!」」

 ギギギギギギィィ

 “椅子“は足の部分を

 引きずりながら近づいてくる

 シュッ

 椅子が飛んできた

タァッン!

 右斜めに、義体を避ける椅子の四つの底は力強く、床を叩きつけた

 ガァンンンンンッ!!

「「エゲギィィ……!!!」」

 ギギギギギギギィィ

 椅子の顔が向いてくる、

 

「どうだ…この美しい業を…よかったな…その無様な目が最期に見るのが美しいもので、

お前の人生にも意味があったな」

 入り口からスーツを着た女は話している

 あの女が、この椅子を生んだのか。

「「エゲギィィ……!!!」」

 ギギギギギギギィィ

 椅子がこちらへ来る釘を握りしめる、

 裏返す。まずはあのスーツの女だ

 義手に力を入れ、釘を強く握る。

「「エゲギィ!!!」」

 シュッ

 椅子が飛んできた義足に力を、膝関節を少し曲げ、走る

 タァッン!

 空間に重い、鉄の錨が叩きつけられたような音が背後から聞こえてくる

 ガァンンンンンッ!!

「「エゲギィィ!!」」

 椅子は後ろで壇上の段差にぶつかった

 このままスーツを着た、女の方へ

「「なんだとッ!?」」

 女が入り口の奥、左側へ走り出した。

 ギュンッ!!

 義足を飛び上がらせる議員たちがいた席を飛び越えていく

 ギュンギュンギュンギュン!!

 バァンッッ!!!

 入り口を抜ける際、力みすぎて

 壁に当たってしまった。

「「あぁっっ!!」」

女が逃げていく、運動能力が

特別優れているわけではないようだ。

 ガァンンンンンッ!!

「「エゲギィィィ!!!」」

 背後からは椅子が飛んできていた

 口を剥き出しにしている女は焼きつくような白い雪景色の議事堂の入り口、階段へと逃げ続けていく。足関節をまた少し曲げ、走り出す

 ギュンッ

 

 ギュンギュンギュンギュン!!

 入り口を抜け、視界が広がる。女は階段の上部から下へ行こうと駆け出している。

「ハァッ!ハァッ!あっあぁぁ!」

後ろを振り向き、スーツを着た女が声を漏らした。

 ヒュル

 カツン…

 スーツの女の眼鏡が落ちた、他に仲間はいないようだ。

「あっっ!」

 ドスッ

 バコッ

 ゴロッゴロッ

 スーツの女は階段から転がり落ちた

 遠くから鈍い音がした。

「あっぁぁぁぁッッいたッぃ!」

 足を引きずりながら

 議事堂から離れようとしている。

 階段を走り抜ける、

義足の駆動音は義体に響く、雪は静かに降りそそぐ。

ガァンンンンンッ!!

「「エゲギィィィ!!!」」

 椅子が階段の上部に辿り着いていた

 義足に力を加え、女を追いかける

ギュンギュンギュンギュン

義足の駆動音は、静かに空間に鳴り響く。

 足を引きずっている女の背中まで近づく

「ハァッ!!ハァッ!!」

 女は過呼吸になっているもう届く距離だ、義足に力を入れる義体を跳び上がらせる。

 ギュンッッ!!!

 ギュンギュンギュン!!

 義手の腕一本まで届く距離に近づいた、女の引き摺る背中に

 キチチチチッッ

 釘を握っている右腕を上げ拳を思いっきり、女の後頭部に目掛けて

「ハァッ!ああっねぇさんッロジく助け――

 放つ、硬い義手を女の後頭部に目掛けて

 ガンッ

 グシャァァァッッ……

 女の頭部は粉砕され、身体は勢いよく

 地面に倒れた。

「「エゲギィィィ!!!」」

 後ろから椅子の声がした。走り続ける義体を後ろに向けるため右足に力を入れ、左に回転する

 ズシャァァァッ

 雪に義足が回転した跡ができる

 椅子は飛び上がる予備動作をしていた

右腕を水平にし、右拳を頭部の横に近づけ右足に力を入れ、椅子に目掛けて跳び掛かる。

 ギュンッッ!!


「「ギィィィ!!!」」

 椅子が下になった下から飛び掛かってくる

パタァァッッ!!

 椅子の跳び上がる速度は速い空中で釘を両手で握りしめ椅子の座面のようなところに

 目掛けて狙いを定める

「「ゲギィィィ!!!」」

 椅子が腕一本分の距離に、両手を振り下ろし、釘を刺す

グシャァァァッッ!!!

「「エゲギィィィィィィィ!!!」」

 刺した瞬間、義体は椅子の

 座面らしきところにぶつかり、後ろへ吹き飛んでいく

ガァッッッン!!

 釘を離してしまった、釘は椅子に

 突き刺さったままだ。

バァッゴォンッッ!!

 コンクリートの床に義体が叩きつけられる

 仰向けに倒れるが、すぐに義体を起こす。

 グシッグシッ…

 義体は少し軋む音を立てた

 釘を刺した椅子にレンズを向ける。


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