表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[GEAR HEAD]  作者: 地位分沢口
第二区画
PR
34/50

—鵺—



――展開地点 第二区画[映画館]

 

◻︎◻︎年  ◻︎時◻︎分 



――部隊員数10名

  

 

――重装骨格運用者

  川村エリザ1名


  

 ――部隊名、[鵺]


北安の兵たちは軽機関銃を持ち

映画館内の壁にもたれ話し込んでいる

「いつ帰れるんだ…」

「父さん…」


 カチッ…


 映画館内はすこし埃がかっている

 かなり古い時代の建物だ


 子供が泣くのを母親らしき

 女性が止めている

「うわぁぁん……」

「やめなさいっ」


 ここは現在、市民の避難所であり

 北安領事団の一時的な

 軍事拠点になっている。


 映画館内に避難している市民、

 その中にはギアヘッド達も混じっていた。


鵺部隊の一人が、指揮隊長と話している

「ギアヘッドを

 ここに置いて任務にいくんです?」


 指揮隊長は携えた

アサルトライフルを気にしながら

その鵺部隊員に応えた

 「あのギアヘッドたちは

“セイウチ“じゃねぇ

 別に疑うもんじゃないだろ」


 軍歴的に若くはあるが

 指揮隊長はこの鵺部隊を前進させ続けた

 ベテランの兵士だ


 ショットガンを整備している鵺部隊員が

 祈りの言葉を呟いた


カチッ…

 カチャ…


「聖女よ貴女の苦痛が癒えますように…」

「聖女の赦しあれ…」


 鵺部隊は総勢10名ほど、

この映画館に展開している


 「さっさと帰りて…」


 皆疲れ切った

 顔持ちをしているが

 ここで生き抜いたベテランたちだ。


 死んでいったものが弱いわけではない

 ただ鵺部隊は耐えてきた、この戦場を


「まぁ大したもんはないな」

 わたしの“骨格”の整備を

 技術長がしている


 “重装骨格”


 人間が装着する形をとる

 戦車のようなものだ


 背中に擬似的な背骨があり2mの体躯で

 深緑の塗装が施され

 頭部は四つの目を持ちオレンジに光る。


 カメラのレンズが視界を共有してくれて

 アームは精密な動作がしやすいが

 動力は遥かに高くコンクリートを粉砕する


 脚部は膝の装甲の隙間からパイプが覗く

 胴体はタイル状の装甲に覆われ

 パイプが張り巡らされた

 人間の肋骨のような、印象を受ける


 わたしの身体は

 この鋼の骨格で覆われている。


「あまり過信しまくるなよ骨格を、

こいつを設計したやつは学歴詐称で

 おっ捕まってるからな」


「私だったらもっと上手く作るさ宇宙でも

 動けるようにな」


 技術長の言う通り

骨格にも弱点はあるが

 今はこれでいい、


これでわたしは重石となり

 “調和”を実現してみせる。


「あいつら装甲師団は手当たり次第、

 壊しまくっとる、こっちにまで北安の

 あたりが強なるだけなのに」

 隅の方でギアヘッドの一人が

 老人と将棋をしながら

 話している。


 装甲師団…ギアヘッドの武装部隊

 彼らのシンボルであるセイウチから

 北安領事団は“セイウチ“と呼ぶ


 この第二区画では現在

 北安とセイウチの紛争状態になっている。


「装甲師団だけぢゃねぇ

 今度は化け物ときたよ

 こりゃあ…終末ぢゃねぇか」

 ギアヘッドと将棋をしている

 老人は次の一手を

 考えながら話している。


 化け物、あれはこの第二区画に突然現れた

 司令部は“ミュータナー“と呼称していた


 ミュータナーにより

 戦況はさらに混乱している。


 そして、ミュータナー以外にも人々を

 苦しめていることがある


 区画への入り口や出口が閉ざされている

 システムの障害だけではない


“無くなって”いる


 この都市を何かが変えようとしている、

 そんな気がしてならない。


「OK!オールグリーンだ!」

 技術長が点検終了を報告する


「ん…やっとか」

 指揮隊長は立てかけていた

 アサルトライフルを携え

 こちらへ近づいてくる。


 それに連れ、鵺たちが指揮隊長に続いて

 わたしの骨格に近づく。


「任務詳細をいまいちど把握する」

指揮隊長が作戦の再確認を鵺部隊に行う

「本部隊の目標は第二区画[図書館]まで

「運用者」移動任務を遂行させること」

「これ一点のみだ」

「気ぃ引き締めろよ」


 指揮隊長が作戦再確認を終える。

 鵺部隊のものたちが骨格に近づいてくる

 わたしが一番若年だからだろうか

 骨格が動く時はいつも皆、何かを

 懐かしむような目をしていた。

 

「運用者、前へ!!」

 技術長が前で誘導する


 グィィィン


 重装骨格の足関節を動かす。


 二人の子供が映画館内の扉から

 顔を覗かせている

 一人は男の子で、怯えた目を少ししている

 もう一人は女の子で口を大きく開けて

 目を輝かせている。


 「赦しあれ」

 「転ぶなよッ運用者」

 鵺部隊のものたちが

 円を描き骨格に集った

 “鵺“となるために

 

 ガスンッ

 一歩踏む


 わたしは“調和“を目指す

 


「「運用者」前へ出る」

 


 骨は鋼でできている。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ