民家
—民家—
「とにかく…いいか静かに上がってこい…」
「左側の階段からこっちにこれる…」
廊下の天井の穴から
そのギアヘッドは話す
言う通りに見ると
階段は左にある、そこへ進む
ギシ…
ギシ…
狭い階段を登ると、扉を見つけた
ドアノブを握り、開ける。
カチャ…
中は和室になっている
畳の床で左側に窓が外の
照明の光を照らす
コトォ
物置から音がした
スススススゥ…
襖を開けると薬莢のようなものが、
一つ落ち物置の
上がくり抜かれているのが見えた
「きたな、さぁ上がれ…」
額縁の穴から
頭部を覗かせていたギアヘッドの
義手を借りよじ登る
ここは天井裏だ、屋根が一箇所破けている
「俺は第19ギアヘッド師団に入ってた」
「“シュハルト“だ」
「あぁ?発声器つけてねぇのか」
「器用にこわれたもんだな珍しいぞ」
シュハルトが
こちらの喉のあたりを見て話す
「んで聞いたか電気屋の話…?」
頭部を下に向け、頷く
「電気屋は行きたいところに道を
開けてくれるらしい…」
「そこまでの道は…
わからねぇ地図がねぇと…」
カーキ色のジャケットの
懐をあさり第一区画の地図を見せる。
「はは…こりゃツキがまわってきたな…」
「よし電気屋を探せ…」
地図を床に広げ、二人で地図を見る
「もうスパークカードなんぞ…しらねぇッ」
「あんたもそうだろッ」
シュハルトが少し声を荒げて言う
首を横に振る
「あぁ?違う?知るかよとにかく電気屋しか
方法はねぇんじゃねぇか」
シュハルトの腰に目をやると
熊のぬいぐるみをつけていた。
「いいかここにはなぁ出口なんてねぇんだ」
「入り口だってねぇだから、
もう電気屋だッ…」
「そこしか道はねぇ…」
地図に目をやる
……….
………
………
あった、指を差し地点を共有する
「よし…よし…いい…」
「やるぞまずはここからだ」
「ここから逃げるのがあれだ、あれ…」
シュハルトはかなり緊張している
義体でも震えることがあるのか。
ビシャンッ!!
「どぉこぉぉぉぉだぁぁぁ………」
引き戸を力強く開ける音が、アサリだ
「ひっ…きた…」
シュハルトが怯えた声を発声器から出した
「やるぞ…ぶっ殺してやる…クズども…」
シュハルトの義手は震えている。
ギシギシ
たんたんたん
ドォン!
ドォン!
アサリはひたすら殴り続けている
手当たり次第、引っ張りだしているのか
「ぅぅ…」
ギュ…
シュハルトは両手で
クマのぬいぐるみを握っている。
ぬいぐるみを握るシュハルトの
義手は震え続けていた。




