表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[GEAR HEAD]  作者: 地位分沢口
第一区画
PR
21/30

アサリ

—アサリ—


シュル…

軍服のギアヘッドの方から

拳銃を抜き取る音がした


 カチャ

 マガジンを入れている


 ジャッキン!

 スライドを引いた。

 

 

「首相閣下万歳」


 バァンッッッ!!

 ガシャッッ

 ビシャッッッ


 辺りに頭部パーツの破片と

 液体が飛び散る、軍服のギアヘッドは

 頭部を拳銃で撃ち抜いた脳の皺が見える。


 女はこちらへゆっくりと近づいてくる


「アッはははは」


 女の表情筋は笑顔こそ作るが

 頬だけが上に、上がっているだけだ

 目はじっとこちらを見続ける。


「いぃぃぃぃねえぇぇ……」


  “アサリ”


 アサリの多くは貧困層だ

ギアヘッドのパーツをばらし売る

 それを生業にするものたち、

 この女はアサリの一人だ


「ビリッビリリリッ」


 手には稲妻が走る鉄の棒

  “電気式”


「イイィィィィヒィィ」

 電気式は義体の電気信号を狂わせる、

 アサリがジャンクで組み合わせた

 狩りの道具だ

 

「あぁ…あっは……」


 ペタ…

 ペタ…

 

 裸足で近づいてくる


  シュッ

  シュタッ

  ガシャッ


 この女のアサリは囮だ

他に仲間のアサリがいる、微かに商店から

 複数人の物音がする。


 頭部を撃ち抜いたギアヘッドの拳銃を見る

 義手で強く握り締められている、

 すぐには取れそうもない

 軍服の腰に目が移る。


 [L―91]

 [smoke]

 [yellow]


 シュッ


 即座に軍服のギアヘッドの義体に

 近づき、身を丸くし

 煙幕手榴弾のピンを抜く


 ピィン


 金属音が響く

 煙幕を投げ入れる


 ボシュ!


 L91は近距離での

 戦闘を思想に設計された代物だ

 一瞬で周囲を黄色い煙が覆い尽くす。


 シュゥゥ……


 そのまま逃げ…


ボスゥン…

 ビリリリ!


 小さい影――子供だ

 飛びかかってくる。


 クルッ


 煙の中、後ろの路地裏に追いやられる。


 ビリリリ!

 ブゥンッ!

 ブゥンッ


  煙に包まれた子供は目を赤くし、

 涙をながしながら

 煙の中で横方向に電気式を振り回す。


「んっ!かぁ!」

「めぇいたいぃ!」


 子供のアサリだ、路地裏の奥

 後ろの道に行くしかない。


 ボシュ…

 煙を抜ける。

 シュゥゥ……

 そのまま走り続ける

 タッ

 タッ

 タッ

 路地裏は道が狭く左に壁があり

右側から三箇所ほど別の路地裏への道がある


 ビュウンッ

「みつけた!」

 真ん中の右側、二箇所目の路地裏から

 またアサリの子供…通路は狭い


「くらえ!」

 ビビビビ!


 シュッン!

 義足に力を入れ高く翔ぶ


「わぁ!」

 横の商店の壁を蹴りアサリの子供を飛び越える

 ダァンッ!

 受け身を取り回転する。

 ガシャンッ!…

 

「うわぁ!」

 アサリの子供は尻もちをつきながら追いかけて来る


 ぺた

 ぺた

 ぺた

 ボシュッ

 煙幕から大きな影が、

「「まぁてえヨォ!!じゃんくううぅぅ!!」」


 後ろの煙幕を突っ切り

大人や子供のアサリが大勢出てきた…

 逃げ続けなければ

 路地を突き抜ける、道は一直線に続く

 左に道はなかった、二層構造で上に

 木造の建物があり目の前には

 石畳の壁が遠くからでも見える、壁に近づく。


「「まぁぁぁぁぁでえよぉぉぉぉ!!!」」

 三箇所目の壁の突き当たり

 右の路地からアサリの集団が迫る。


 ギュンッ!!

 足に力を入れ跳び上がり目の前の壁を蹴る

 左の壁に義体を向け両手で壁を掴む

 義足に力を入れ右肩からよじ登る…

 商店街が見下ろせて、圧迫感のあるコンクリートの天井が近い。

 眼前には木造建築の建物が

 いくつもあり散発的に広がっている。

 山奥にある村のような印象だ

 引き戸が見える。そこへ逃げ込む…


 ガラガラ

 ガシャ


「うぇぇぇにぃげたぞぉぉぉ…」

 アサリの声がする…

 建物の中は住宅のようだ、ところどころ軋んでいる


 ギシ…

 キシ…

中は暗く遠くの廊下の窓から照らされている

 照明でかすかに視界を確保している

 廊下は二つに分かれている奥は食器や机が

遠くから見える、食卓だろう、

 あそこで家族と食事を……

 


左は壁の上部にこの家にかつて

住んでいたであろう人物の写真が並んでいる


 左へ進む


 ギシ…

 ギシ…


「どぉぉおだぁぁぁぁ……」


 ギシ…

 ギシ…


 外の照明は白く廊下の床板に反射している

 ギシ…

 ギシ…



 ガクッ



 突然壁の上部の額縁の一つが外された

 

「おい…こっちだ…」

 ギアヘッドだ、額縁の取れた穴から

 発声器特有の曇った声を出している

 

「聞いたか?」

「お前も軍服から」

「電気屋の話を」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ