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それぞれの夜:結桜


「ただいまー」

「結桜ちゃんお帰り。楽しがったが?」

「うん!すっごく楽しかったんよ!」

「そらぁいがったな。お風呂沸いてるがら入りな。入ったら風呂の水はそのままでええよ」

「はーい」


 おばあちゃんはそれだけ言うと寝室の方に行ってしまった。普段は寝ている時間なのに、うちが帰ってくるまで起きてくれていたみたいだ。

 そうだ、お風呂に入る前に家守様と家鳴り君たちに挨拶しないと。

 居間の隣のふすまを開くと、仏壇と神棚がある。その神棚の前で二拝、二拍手。


「今日も楽しく過ごせました。ありがとうございました」


 最後に一拝をして終わり。

 家守様にお参りし終わり下を向くと、家鳴り君達が集まってきていた。


「(タンタン)」

「ただいま、家鳴り君。今日も何もなかった?」

「(タンタン)」

「そりゃあよかった」


 家鳴り君達は足をタンタンと鳴らして返事をしてくれた。

 家鳴り君は何時からいたのか分からないけど、うちが小さい頃初めて見た妖怪だ。未だに家鳴り君以外の妖怪は視たことはないけどさ。家鳴り君の見た目はスマホくらいの大きさの小鬼だ。

 家守様についてはおばあちゃんから、家の守り神だという話を聞いた。その後に家鳴り君達から、この子らのボスみたいなものだというのを聞いた。家守様については視えたことがないけど、朔曰く大きいヤモリだそうだ。朔も家守様や家鳴り君は怖くないようで、今でも家に来ると必ず挨拶をしてくれる。


「(キィキィ)」

「どしたん?」

「(キッキッキッ)」


 どうやら学校の七不思議のことを聞きたいらしい。皆興味津々という感じで、体を揺らしてキィキィと高めの軋んだ音を出している。うちも話したいのは山々だけど、もう遅いからそろそろお風呂に入って寝ないと。


「ごめんね。明日じゃダメかな?」

「(キィ)………」


 家鳴り君はテンション低めに床を鳴らして、明らかに落ち込んでいる。心苦しいけど今日はさすがに疲れていて眠たい。


「明日はお休みだから、朝から話してあげられるんよ」

「(タンッタンッ)」「(タンッタンッ)」


 家鳴り君達が一斉に飛び跳ねるように足を鳴らしている。

 よかった、喜んでくれたみたいだ。明日は他の人に聞かせる前に、特別に家鳴り君達に語ってしんぜよう。


「おばあちゃんが寝てるから、しぃーなんよ」

「………(タンタン)」


 家鳴り君達はハッとして、小さく足を鳴らして静かになった。

 この子達は悪戯好きだが、意外と聞き分けがいい。きっと家守様と祖父母の教育の賜物なのだろう。うちの家鳴り君達は知らない人が来ると騒いで家屋を軋ませるけど、日中はおばあちゃん一人なのでセキュリティに一役買っている。それに明らか悪意がある人には、家守様がビビらせるから今の所悪徳商法に引っかかったりはしていない。まさに”家守”様だ。


「明日、楽しみにしとるんよ」

「(タンッタンッ)」


 控えめだけどスキップのような肯定が聞こえた。

 さあ、明日のためにも今日はもう寝よう!その前に今日のことをメモしておこう。こんな貴重な体験、細かいとこまで覚えとかないと勿体ないんよ!




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