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【03】 先輩との夜のドライブ

蒲郡の夜空は真っ暗に暮れていた。

重いスーツケースを引きずり、失意のどん底で選手宿舎を出た爽香。その時、駐車場に止まっていた車の窓がすっと開いた。


千鶴「速水さーん!」


後部座席から顔を出したのは、埼玉支部の先輩でありA1級レーサーの里見千鶴(48)だった。


爽香「里見先輩……?」

千鶴「速水さん、これから直帰? よかったら一緒に埼玉まで帰らない?」


運転席には、千鶴の息子の拓也が控えていた。


爽香「えっ……いいんですか?」

千鶴「もちろんでしょ! 同じ埼玉支部じゃない。長い道のりだし、おしゃべり相手が欲しかったのよ。さ、乗って乗って!」


千鶴は車から降りると、爽香の重いスーツケースをひょいと持ち上げ、スポーツタイプの広いトランクへ積み込んでくれた。


爽香「ありがとうございます……! 支給された交通費を使わずに済むので、本当に助かります……」

千鶴「固いこと言わないの。さあ、行きましょう」


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