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2ー3

 盗賊の襲撃によって、ドアをなくした馬車は、小高い丘を登ると豪奢な門扉の前で動きを停めてしまいました。


 門の他は四方をコンクリートブロックで囲まれたとても広い敷地です。


「さぁ、リリーさん。お手をどうぞ」


 ひらりと身をかわして馬車から降りたジェイン様は、わたくしに手を差し伸べてくれております。


 そのお姿は、さながら王子様のようです。


 わたくしの心も、きゅんとときめいてしまいましたわ。


「で、では」


 わたくしは失礼して、ジェイン様の手に自分の手を乗せました。


「ようこそ、ロイヤルミルクティ城へ」


 その一言が、わたくしの胸をわくわくさせてくれます。


 門番さんは馬車が壊れているのを発見して、頭を抱えてしまわれました。


「すみませんが、盗賊に襲われて馬車を壊されてしまいました」


 悪びれなく言い放ったジェイン様の美しさに、門番さんはそのような理由でしたらしかたがありません、と応えてくださいました。


「それで、お怪我はありませんか?」

「はい。ですが、こちらのリリーさんの服が汚れてしまいました。急ぎ、侍女服を用意するよう手配してください」


 ジェイン様が言いつけますと、門番さんははっ! と敬礼なさってわたくしたちを門の中へと導いてくださいました。


「それでは、わたしはここで失礼するよ」


 神父様とはここでおわかれのようです。


「どうぞお気をつけてお帰りください」


 わたくしが言いますと、神父様はご心配なく、と笑顔で手を振ってくださいました。


門をくぐると、色とりどりの薔薇のアーチが迎えてくれます。


「わぁ。なんとお美しいのでしょう」

「さすがはリリーさん、審美眼がおありのようですね」


 ジェイン様はにこやかにわたくしの前を歩いて誘導してくれます。


 手入れの行き届いた薔薇の道を歩いているだけで、とてもしあわせな気分に満たされてゆきます。


 しばらくしますと、白亜のお城が姿をあらわしました。


「これが、ロイヤルミルクティ城なのですね」


 おもわずため息が出てきてしまいましたわ。


 そうして、お城の門番さんをも通り過ぎて、いよいよ城内に足を踏み入れます。


 そこからすでに、わたくしがこれまで住んでいた場所とは別世界のようですっ。


「あなたがリリーですね? わたくしは王妃様付きの侍女長、ケリーと申します。さぁ、こちらで侍女服に着替えてください」

「はいっ。よろしくお願いいたしますっ」


 はずむような声で返事をすると、ケリーさんの案内で衣装室へと通されました。


「わぁ……」


 衣装室ですから、様々なドレスなども見受けられます。お美しい色の羅列に、恥ずかしながら声をあげてしまいました。


「リリー、きょろきょろしないでください。はしたのうございますよ」


 わぁお。さっそく叱られてしまいましたわ。


     つづく

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