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「ケリーさんっ!! わたくしは、わたくしは……」
わたくしはおもわず瞳を潤ませケリーさんに近寄ります。
「な、なんですか? リリー」
「こんなに親身になって叱ってくださり、どうもありがとうございますっ!! わたくし、恥ずかしくないようがんばりますわっ」
気づいたら、ケリーさんの小さな手を握りしめておりました。
「あ、あら? そうね。がんばってもらわなければなりませんわね。いいですね? あの話を知っているのはごく限られた者だけです。よって、口外してはなりませんよ?」
「はいっ!! ケリーさんも知っていらっしゃるのでしたら、心強いです」
「あなた、わざとトンチンカンなことを言っているわけじゃないでしょうねぇ?」
「はい? トンチンカン、ですか?」
「わざとじゃなければいいわ。とにかく、しばらくはわたくしがあなたの教育係です。しっかりと勉強するのですよ」
「はいっ!! 心得ておりますっ」
そうしてわたくしは、自分が着ていた服を脱いで、紺色に白地のフリルが施された侍女服へと袖を通したのです。
こんなにお美しい服が侍女服でよろしいのでしょうか!?
とても感激しましたっ。
「髪は三つ編みに結ってちょうだい」
「はいっ」
言われるまでもなく、三つ編みにします。が、超直毛なわたくしの髪は、油断しているとすぐに三つ編みがほどけてしまいます。
「では、このようにしたらどうです?」
ケリーさんは、わたくしの髪を後ろで一つに結ぶと、そこから大きな三つ編みを編んで、髪ゴムで留めてくれました。
今度はほどけてきませんっ!!
「ありがとうございます、ケリーさん。今後はこのように結いますねっ」
「いいですから、リリー。いちいちわたしの手を取らないでくださいな」
「いいえっ。わたくしとても感動しているのでありますわっ。お城勤めと聞いて、たちの悪い意地悪をされたらどうしましょうと、内心ドキドキしておりました。ですが、ケリーさんにとても親切にしてもらえて、わたくしとてもうれしゅうございますっ」
「あ、あのねぇ。ごほん。わかりました。では早速、あなたのお部屋へ案内します」
「はいっ」
わたくしは荷物を持って廊下へと出ますと、なんとジェイン様が待っていてくだしいました。
「あらまぁ、ジェイン様。ここはわたしに任せて、ご自分のお仕事に専念してくださいな」
「それではケリー様。リリーさんのことをどうかよろしくお願いいたします」
そう言って、ケリーさんの手の甲に口づけなさると、廊下の向こうまで歩き去って行きました。
ケリーさんはどこか夢見がちな表情で、ジェイン様の後ろを見送っておりましたが、その姿が見えなくなると、では参りましょうと言って、ジェイン様とは反対の方角に歩き始めました。
つづく




