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さすがはロイヤルミルクティ城とあって、すべての装飾がとても美しいのです。絵も、その絵を飾る額も、花も花瓶も、廊下一面に敷かれた絨毯までもがとても美しいのです。
わたくしは何度もため息をついてはケリーさんに叱られてしまいました。
「そう、なにもかも珍しいものなのかしら?」
「はいっ。わたくしの住んでいた農村には、どれもありませんでしたから」
「それでもいいですが。まぁ、そのうち見慣れてしまいますよ」
「そんなことないと思います。わたくし、農村ののんきな雰囲気もとても好きでしたが、ロイヤルミルクティ城の装飾のすべても、いつまでも好きなままでいると思うのですっ」
「そう? ならいいけど。いちいちため息をつかないでちょうだいね」
「気をつけますね」
「なんだか張り合いがないわね」
それは、どういう意味なのかはわかりませんが、前方からとてもかわいらしい男の子が従者を連れて歩いて参りました。
「ケリー!! そっちの人が新人?」
「これはこれはジョシュア様。そうです。こちらが新人のリリーです。さぁ、リリー。こちらは第一王子のジョシュア様ですよ。しっかりごあいさつしてください」
はっ。緊張の一瞬ですわっ。
「お初にお目にかかります、ジョシュア様。わたくしのことはリリーとお呼びください」
そうして、家ではなんの得にもならないとからかわれていた優雅なしぐさでスカートを少し持ち上げてあいさつしました。
「へぇ。ケリーが教育しなくてもいいんじゃないの?」
「そうはいきません。リリーはこれからもっと教育を施さなければ、ロイヤルミルクティ国の恥となるようなことにはさせません」
ケリーさん、太っ腹です。わたくし、なにがあってもケリーさんについていきますわっ。
「そんなこと言って。若い子をいじめたいだけなんじゃないの?」
「めっそうもございませんっ」
「でも、まったくそうじゃないとも言い切れないよね?」
ジョシュア様、それは間違っておりますよ。わたくしはケリーさんにとてもよくしてもらっております。
「ともかく、今はリリーを部屋に案内するところですので、これで失礼いたしますよ」
さぁ、とケリー様にうながされたわたくしは、ジョシュア様にお辞儀をした後、廊下を進むのでありました。
つづく




