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そうして廊下をずんずんと進んでまいりますと、突き当たりにドアが見えてきました。
そのドアに、ケリーさんが鍵を差し入れると、がちゃりと解錠の音がしました。
「こちらのお部屋は魔法で開くようになっているから、うっかり鍵をかけ損なっても他人に入られる心配はないけど。あなた、魔法は使えるのかしら?」
「はいっ。治癒と精霊魔法を少々」
「なら心配はいらないわね。はい。部屋の鍵。荷物を置いたら、さっそくジュリア王妃にごあいさつにうかがいますから、みづくろいしてきなさい」
「承知しました」
わたくしに与えられた、わたくしだけのお部屋。カントリー調でまとめてあって、とてもかわいらしいお部屋ですわ。
これからこのお部屋で暮らすことになるのですわね。
どうかよろしくお願いしますね。
心の中でささやくと、姿見に我が姿を映してみづくろいします。
粗相のないことを確認した後、部屋を後にして鍵を閉めました。
「お待たせいたしました」
「ふむ。準備はできたようですね。それでは行きましょう」
さらに左に曲がって奥の間までたどり着くと、門衛にあいさつをしたケリーさんがドアをノックした。
「ジュリア様、新人の侍女をお連れしました」
「どうぞ。お入りなさい」
凛と澄んだお声がして、ケリーさんが観音開きのドアを開けました。
「失礼いたします」
ケリーさんにならって、わたくしも深々とお辞儀をしました。
「かたくるしいあいさつは抜きにしてちょうだい。そうだ、ファレス。新人さんのためにお茶の用意をしてちょうだい」
「承知いたしました」
ファレスさんという侍女さんは、楚々とした態度でわたくしたちが入ってきたドアを出て行きました。
「それで、リリーと言うの?」
「はいっ。リリーと申します」
「ふふっ。堅苦しいのはやめてよ。それより、お腹の王女が少しおとなしくなったみたい。あなたのおかげかしら?」
「そ、そ、そ、そ、そ、そのようなっ」
「でも、あなたは魔力を中和させる能力があるのでしょう? あなたがいれば、わたくしも楽でいいわ」
王妃様がよろしいのでしたら、いつでもリリーを側につけておきますよ、とケリーさんがはなされました。
そのような、光栄なっ。
そして王妃様、とてもとてもお美しくていらっしゃる。金色の髪はゆるくウェーブしていて、夢の中に出てきてくださった王女様とどこか似ております。
室内は環境音楽が申し訳程度にかかっていて、観葉植物もみな元気でいるのです。
このような好待遇で働けるだなんて、わたくしは村一番のしあわせ者ですわっ!!
つづく




