2ー7
ファレスさんは、台車にケーキやクッキーなどを乗せた菓子ぼんと、紅茶の香りを漂わせて部屋に入って参りました。
「ファレスは紅茶を淹れるのがとても上手なの。お菓子は全部、厨房でパティシエが作ってくれたものよ。さぁ、どうぞ。遠慮なく召し上がれ」
わぁ……。お菓子がきらきらしている。リサに見せたい、食べさせてあげたいな。
「どうしたの? リリー」
王妃様に問われてはっと息を呑みました。
「申し訳ございません。わたくしつい、年の離れた妹のことを思い出してしまいまして。その、妹が好きそうなお菓子だなと思いましたら、なんだか涙があふれてしまいました」
「そうなの? 泣いてもいいわよ。いつか、あなたが実家に戻る時にはたくさんお菓子を持たせてあげるわね」
「ありがとうございます、王妃様」
なんてお優しい王妃様なのでしょうっ!! わたくしとても感動してしまい、涙があふれてきました。
「さぁ、心を落ち着かせて。お茶を飲みましょう」
ふふふっと優しく微笑まれる王妃様に勧められて、紅茶の香りを楽しみます。それから一口。
「わぁ。たいへんおいしゅうございますわっ」
わたくしが感想を述べますと、ケリーさんにはしたない、とたしなめられてしまいました。
「申し訳ありません」
「いいのよ、リリー。ケリーもそんなに目くじらを立てないでちょうだい。あなたがそんなだから、侍女たちが次々と辞めてしまうのよ?」
「はぁ。ですが、きちんと教育を施さなければ、後々後悔することになりそうでして」
「その時はその時。わたくしはみんなで楽しくお茶したいだけなのよ?」
「あのっ。申し訳ありません」
かえってケリーさんを窮地に立たせてしまったわたくしは、おもわず口を挟んでしまいます。
「ですが、ケリーさんはわたくしに丁寧に教育を施してくださっております。わたくしはそれをとてもありがたいと思って受け入れております」
「あらまぁ」
王妃様はぽかんとしてしまわれました。
わたくしなにか、間違ったことでも言ったでしょうか?
「あなたがそう思うのならかまわないけど。よかったわね、ケリー。あなたの愛弟子はとてもたくましい性格のようですよ。ほほほほほっ」
王妃様が微笑まれて、わたくしも口角が上がります。
「はい。なにかと問題の多い子ですが、根性だけはあるようでして。お騒がせして申し訳ありません」
「いいのよ。さぁ、ケリーも一服してちょうだい」
王妃様のおかげで、美味しくて楽しいお茶の時間を過ごすことができましたわ。
つづく




