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わたくしに口づけたジェイン様は、体の鎧が外れてゆきます。
「ああ、ようやく自由になれました。ありがとう、リリーさん。初めてなのに、ごめんなさい」
はいいいいっ!?
「ジェインはその強すぎる魔力ゆえに、普段から魔力制御装置を身に着けておるのだ。その枷が外れるのは、真実の愛を持って、助けたい者たちのためにのみ発動する」
そ、そうなんだ。真実の愛……? きゃっ。
「ちょっとぉ〜。見せつけてくれるじゃない? なんなの、その真実の愛ってぇ〜?」
「申し訳ありませんが、真実の愛がなにかをわからなかったために、女性と見れば口説いていた理由がこれなんですよね」
そ、そんな気障ったらしく言ったってゆるしませんからねっ。
「だけど、リリーさんに会って、わかりました。胸の内側が熱くなるこの想いが真実の愛なのだと。それであなたとは別れをきりだしたのです、魔女ファレス」
……それはそれで、ファレスさんが気の毒でもあるけど。しかたないですわよね。わたくしのことを好きになってしまったのですから。
そして、そこからのジェイン様の無双ぶりかすごいのです。
なみいるガイコツを次々と粉砕して、再生不可能にしてしまっております。
「そういうわけですからリリーさん。僕は本気であなたのことを愛してしまったのですよ」
信じてくれますか、なんて。この状況でそういうことを言うからまたファレスさんの怒りを買うのです。
ですが、さすがのファレスさんも疲れを感じ始めたのか、息も絶え絶えに杖に捕まっているくらいです。
「そろそろ終わりにしませんか? ファレス」
「ゆるさない。このあたしをダシにするなんて、そんなの絶対ゆるさないっ!!」
ジェイン様の呼びかけに、ファレスさんは嫌々と首を左右に振ります。
「このあたしをここまで追い詰めた罪、あがなってもらうわよ。魔王よ、我が姿を食い尽くし、あらたなる肉体とせよ」
ファレスさんが唱えた呪文は、魂だけの存在となった魔王に、自分の肉体を貸すという禁止中の禁止事項なのです。
案の定、青白い炎がファレスさんの体を包み込み、口の中から体の中へと入り込みます。
「だから言ったではないか。誰も信じるな、と」
それは、とてもひずんだ声で、すでにファレスさんのものではなくなっておりました。
つづく




