11ー3
頭が二つに分離した分裂男男の腕を斬り落としても、何回でも再生してしまいます。
すでに数回ムチのように伸びた手でぶたれてしまったわたくしは、それでも王妃様とジョシュア様を守ろうと必死になって戦います。
ですが、これではきりがありません。
じわじわと嫌な汗が額から流れてきた頃、空間が歪んで分裂男の影の中から黒装束に身を包んだファレスさんがあらわれました。
ファレスさんはそして、自らの口を大きく広げ、裂いた状態で分裂男を飲み込んでしまいました。
「なぜです? その人はあなたを慕っていましたのに」
「だからよ、リリー。まだ恋を知らないあなたにはわからないと思うけど、この男にとってあたしに食べられることが非常に喜びなの。そうしてあたしの手となり足となり、栄養となってあたしの中で生き続けるの」
なんて危険な発想。これが黒魔術なのですか? こんなの、禁止するに決まっています。
そしてそんなファレスさんは、すでに魔法の火炎球を複数生み出そうと構えております。
万事休す。
彼女の手から火炎球が打ち出された瞬間、目の前が透明なバリアて守られました。
「国王陛下、ジェイン様っ」
国王陛下の登場に、ファレスさんがいやらしく舌を出して唇をなめます。
「んふっ。いい男が二人。あたしのとりこになりなさい」
「長きにわたる呪縛を解き放つ。ケルベロス解放!!」
国王陛下が叫びますと、パピーの身体がどんどん大きくなり、頭が三つに増えてしまいました!!
「すまないな、リリー。そなたにはパピーの本来の姿を見せぬつもりでおったが、そうもいかなくなった」
陛下にあやまられている間も、ファレスさんの攻撃がやむことはありません。
ケルベロスとなったパピーは、愛らしくもたくましい神の化身として、火球を次々とはじき飛ばしてしまいます。
「おのれ、卑怯な。お前たち、出ておいで」
ファレスの声に呼応するように、その黒いマントの中からいくつものガイコツが出てきました。
ガイコツは攻撃しても少しもひるみません。それどころか、ダメージ一つ与えることができないのです。
「リリーさん、僕は、あなたをも守るつもりでおります」
「ジェイン様、そんなことを言っている場合ではなっ――?」
ふいに、攻撃していたジェイン様が振り向いて、わたくしの唇に口づけました。
このっ!! 初めてなんだからねっ!!!!!
つづく




