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10ー5

 結局リサは、スクランブルエッグも目玉焼きも食べた。若いっていいねぇ。食欲あって。


「リリーはそれだけでいいの?」

「うん。なんかこの家に居られるだけでしあわせいっぱいなの」


 それに、なんだかずっと胸がつまっていらだっている。


 それもこれもジェインのせいだっ。


 食パンに目玉焼きを乗せて食べていると、お父さんと目があった。


「どした? お父さん」

「いや。なにか嫌なことでもあったのかなと思って」

「あったもあったよ。だから今日は農作業手伝うから」


 むしゃくしゃした時には体を動かすのが一番!!


 わたしは早くパンを食べて、ミルクでチーズを食べた。うん、うまい。やっぱりこの食べ方最強だよ。


「今、なにを作付けしてるんだっけ?」

「ネギだよ。去年より作付け面積が広くなったから、助かるよ」


 ネギはいい。身体にいいし、身体にいい。


 なにより、お父さんの作ったネギはおいしいしね。


「あとは? なんか聞きたいことあんの? お父さん」

「その。ケンタくんのことだが、彼と武道で戦ったのかい?」

「……うん。それでもいいや」


 短期間で色々ありすぎて、誤解解くのは面倒くさいや。


 またむしゃくしゃしてきそうだったから、ミルクでチーズを食べていたら、家の前に馬車が止まった。


「あら? 誰かしら?」


 お母さんが玄関を開けると、馬車からパピーを抱き上げたケリーさんが降りているところだった。


「いらっしゃいまし」


 お母さんはやけに落ち着いている。


「お邪魔してもよろしいですか?」


 ケリーさんがお母さんに聞くと、お母さんはどうぞと言って、家の中に招き入れた。


 そうなると今度は家の中が狭く感じる。


「では、わたしは農園にいきますのでこれで失礼します」


 お父さんは入れ替わりに家を出た。


「あたしも学校行ってきます」


 つづいてリサも家を出る。


 お茶の支度をしていたお母さんも、農作業に行ってきますと家を後にした。


「色々と誤解させてしまったみたいね、リリー」

「わたしの方こそ、です」


 わたしの話しぶりにケリーさんは驚いていたけれど、されるがままのパピーを差し出してきた。


「大切なお友達をわすれないであげて」

「パピーは王妃様の側においておかなくちゃいけないんじゃないっすか?」


 少なくとも、ジョシュア様はそう言っていた。


「そうね。だから理想はあなたがパピーとお城に戻って来てくれるのが一番よ?」

「戻りません。わたしがいなくても、魔力を無効化する部屋に王妃様が居ればいいわけてしょう?」

「その後はどうなるの? 王妃様だってたまには散歩くらいしたいし、王女様がお生まれになったら、その部屋に閉じ込めておくことなんてできないわ」

「だからわたしを利用するんですか? このネックレスもお返しします。これのせいで変な夢を見たから」


 どんな夢? とケリーさんが聞く。


「シャノン様だっていう女の子が出てきた夢」


 ぶっきらぼうに言い放つと、わたしは下を向いてしまった。

 

 これ以上暴言を吐きたくないな。


     つづく

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