1ー6
それは、このくらげ島に伝わる昔からの言い伝えです。
海の間にぽっかりと浮かぶ我がくらげ島は、磁場の影響で島の外に出ることも、外から人が来ることもできません。
そして古くからの言い伝えによりますと、いつか最強の魔女がこの島を滅ぼしてしまう、という恐ろしいものです。
魔法使いではなく魔女、ということで、昔から一定量の魔力がある魔女は、その力を放棄してしまうか誰かに渡すかによって、疑惑がはれるのであります。
ところが、これからお生まれになる赤ちゃんはそうはいきません。
生まれつき魔力を制御できる赤ちゃんなんていませんし、そのせいで殺害されるようなことはあってはなりません。
そこで、わたくしの出番ということになります。
わたくしは生まれつき魔力を中和させてしまう能力がそなわっております。
それゆえ、癒しの力と中和の能力により、これから生まれくる王女様の魔力を中和させる立場になるとのことです。
「事情が事情ですので、断られても何度も門扉を叩く覚悟でまいりました。どうです、リリーさん。怖いですか?」
わたくしは自分の身体を抱きしめるようにします。
「いいえ。王女様の魔力が強いことはたしかなのですね?」
「はい。毎日魔力測定器で測っておりますが、王妃様とは別の魔力はメーターが振り切ることもあります。よって、王女様がお生まれになられたら、わたしが魔法教師としてマンツーマンの特訓をすることとなります」
なんてだいそれたお話なのでございましょう。
「リリーさんにはぜひ、王女様付きの侍女長として、側にいて欲しいのです。が、これらはすべて機密情報。このことをほかの誰にも話してはなりません」
「承知しました。はたしてわたくしが侍女長の器として適役かわかりませんが、どうぞなんなりとしごいてください」
ありがたい、とジェイン様はうつむきます。
「魔力の中和と癒しの魔法という特殊な条件がそろっていたのは、島中を探してもリリーさんしかいませんでした。欲しいものはなんでも言い使ってください。わたしにできることなら、なんなりと協力します」
ジェイン様の麗しい笑顔が胸に染みます。きっと、王女様のことを思うとそのような優しげな面だちになるのでしょうね。
これで、わたくしが選ばれた理由がわかりました。
これから慣れないお城での生活が始まりますが、わたくし全力でがんばらせていただきますっ!!
つづく




