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1ー5

 みんなで朝食を食べ終わり、片付けをしておりますと、牧師さんが馬車を走らせてやってまいりました。


「おはよう、リリー。覚悟はできているかね?」

「はい。もちろんですわ、神父様」


 そうして、最小限にまとめた荷物を手に、わたくしは家族としばしのわかれに専念します。


「お父様、お母様、そしてかわいいリサちゃん。どうかお元気でいらしてくださいね。わたくしは、みんなのことをわすれませんわっ」

「お姉ちゃん、大好きっ」


 あらまぁ。リサちゃん、急にどうしたのかしら? わたくしにここまであまえてくれて。


 わたくしも涙が出てまいりました。


「リサ。両親の言うことをしっかりと聞くのですよ。日曜日は教会に行って、心を清めるのですわ」

「はいっ。あたし、お姉ちゃんとまた会う日まで、立派なレディになります」

「まぉまぁ、本当にかわいらしい」


 わたくしはリサの頭をよしよしとなでてあげます。このようなことになる前から、リサはしっかりいろいろなことを吸収していたのですね。それだけでもう、立派ですわ。


「リリーさん、そろそろ出発しませんと、到着が遅れてしまいます」

「はい」


 名残惜しゅうございますが、リサと離れると、馬車に乗ります。


「みんな、行ってまいります!!」


 家族に手を振ると、わたくしは涙をハンカチで拭き取ります。


 さようなら、みんな。しばしのおわかれでございます。


 そして、わたくしたちを乗せた馬車は出発しました。


 馬車が走り始めると、向かい側に座ったジェイン様が、事情を話してくれることになりました。


「実は今、王妃様のお腹の中にはあたらしい命がやどされております」

「あらまぁ。素敵」

「そう、そしてその子はとても魔力の強い魔女なのです」

「あら? もう性別がおわかりですの?」


 そうなのです、とジェイン様はイカサマらしからぬ流麗なお顔でうなずきます。


「すでに何度も国王陛下と王妃様の夢の中に出てきているのです」

「あら? それでしたらもしや、昨夜見た夢の中の女の子が王女様なのでしょうか?」


 それはとても素敵で、あたたかい夢でした。


「どのような女の子でしたか?」

「髪は金髪で、ゆるくウェーブのかかった、翡翠色の瞳のとてもかわいらしいお子様でした。その子はわたくしのことを大好きと言ってくださり、抱きついてくれましたの」


 わたくしの答えに、ジェイン様は一つうなずくと、間違いありません、とささやきました。


「わたしも夢の中でその少女に会ったことがあります。間違いなく、その子が王女様でしょう。そして……」


 そう、そこからはかなり悲しいお話になります。


「ひょっとすると、王女様がこのくらげ島をおびやかす存在となるかもしれません」


     つづく

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