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「わたしは悪気があったわけではありませんよ? ケンタさんを呼べば、リリーさんがわたしの方がましかもしれないと思ってくれると予測したまでです」
ああ、なんてややこしいのでしょう!?
「地元の友だちに会えば、肩の力が抜けて、よろこんでもらえると思ったのですが、逆効果でしたか」
「あいつ、舞踏会のことを武道会だと勘違いしておりますし、ファレスさんのことも手品師のような存在くらいにしか思ってませんですのよっ!? わたくしはともかく、一般人を危険なことに巻き込むという自覚がないのですかっ!?」
「これは……」
そこでようやくジェイン様は、自分の失敗に気づいてくれたように、薔薇の花は枯れてしまいました。
「今日は楽しかったでしょう? またわたしと一緒に出かけたいでしょう? なんだって買ってさしあげますし、どんなことだって思うままですよ? そんな地位に居られるのは、選ばれた者だけなのですよ?」
「そこまでして国王陛下のブラックカードを使うおつもりなのですね。ジェイン様、わたくしはつい先ほどまで、あなたに嫌われるのが怖いと思っていました」
でも今は違いますとつづけますと、ジェイン様ははぁ、と気のない返事が返ってきます。
「わたくしはジェイン様の自分よがりなところが大っ嫌いです。今後、この考えがひるがえることは絶対にありえませんからそのおつもりでいらしてください」
言ってしまいました。その若さで国王陛下の配下にあるジェイン様を突き放してしまいました。もう取り返しがつきません。
「ですが。カフェではいい雰囲気でしたのに?」
「王妃様に見られる前までは、とても楽しいと勘違いしておりました。そうです、勘違いです。わたくしがジェイン様のことを好きになるはずがありません。なんならパピーを返してもいいくらいです」
はいっとパピーをぶら下げますと、ジェイン様はいいやと言って手を振りました。
「パピーはあなたの側に置いてください。それと、どうすればあなたの心を振り向かせることができるのかを教えてください」
わたくしはパピーをきゅっと胸に抱きしめてこう言います。
「わたくしの心が変わることはありません。ですからファレスさんと付き合うなり結婚するなりしてください。こんなの、命を狙われた王妃様が気の毒すぎますっ!!」
そうです、王妃様は何度も命を狙われているのです。なんならジェイン様だけで満足してくださるはずでしたのに、ジェイン様の身勝手な言動が元で、王妃様の命が狙われたのです。
「わっかりましたぁ。でも、舞踏会では共に踊りましょうね? おやすみなさい」
そう言うとジェイン様は、すごすごと部屋から去って行くのでした。
つづく




