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7ー8

 まったく忙しい一日が終わりを告げようとしております。


 わたくしの膝の上に乗ったパピーはすやすやと寝息を立てております。


 ほんらいならば、それだけで最大級の癒しを与えてもらえた現実に感謝までできたはずなのです。


 それが、なんの因果かケンタが舞踏会に来ることになってしまった上に、カノジョまで連れて来るつもりです。


 この事実を頭の中で繰り返しているうちに、ある一つの思いにたどり着きました。


 さてはジェイン様。わたくしが困ることを見込んでここまで仕組んだわけではないでしょうね?


 わたくしの嘘を、最初から見抜いた上での嫌がらせではないのでしょうか?


 いやもう嫌われてもかまいませんから、ケンタだけは呼ばないで欲しかったのです。


 思い起こせばケンタはいつも渦中の中心でした。


 鶏小屋を壊したり、アルパカの毛皮を勝手に刈り込んで苦しめたり、水道管を破裂させたり、化学の授業で爆発事件を起こしたり。


 そんな人間がお城に来ること自体、あってはなりません。


 ああ、ですがうまくすればファレスさんと相殺してくれるかもしれないっ!!


 ……それはありませんよね、はい。


 わたくしが一人、部屋で百面相をしていると、ドアがノックされました。


「ジェインです。よろしければ夜風にあたりませんか?」


 そうです、ジェイン様です。今回のこの騒動の一端は、ジェイン様が女性と見れば片っ端から口説いて回ったけっか、ファレスさんの怒りを買い、そのつけがわたくしに回ってきたのです。


 そういった意味ではケンタよりも厄介な存在なのではないでしょうか?!


「どうぞ、お入りになってください」


 わたくしは、パピーを起こさないよう呼びかけましたが、結局パピーは起きてしまいました。


「それでは。夜分に失礼します」


 そう言うと、ジェイン様は薔薇の花を一輪、わたくしに差し出しました。


「トゲはカットしてあります。よろしければどうぞ」

「受け取れません」

「なにかお怒りですか?」


 なにかって、全てにおいて困っています。


「ジェイン様はわたくしが嘘をついていることを見抜いたのですよね?」

「なんのことですか?」

「ケンタのことです。あんなのをお城に呼ぶだなんて、ファレスさんでもないかぎり、大騒ぎになってしまいます」

「う〜む。そうでしょうか?」


 ならばなぜ、そんな嘘をついたのですかと言いとがめられて、わたくしは腹立ちまぎれに怒鳴ってしまいます。


「ジェイン様にデリカシーが足りないからですっ!! 王妃様の投影魔法を知っておりながらなぜ、そのことを教えてくださらなかったのですか!? なぜわたくしをはずかしめることばかりするのですか? その上ケンタはお城に来る気満々です。カノジョまで連れて来るつもりでいます。あのような田舎者を呼び出して、どうするおつもりなのですか!?」


 おやまぁ、これはお怒りですねと言ったジェイン様は、仕方ないとばかりに肩をすくめてみせました。


 わたくしが今、それをしたいくらいですのにっ!!


     つづく

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