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7ー6

「そんなに思い出し笑いするほどの人なの? ケンタくんって」

「はい。ケンタは子供の頃やんちゃ坊主なのでした。ですが、今は少しだけましになっております。とてもお城で舞踏会なんて似合いませんよ?」


 しかも、この舞踏会にはレモンティ王国とローズヒップティ国の重鎮たちが名を連ねております。


 そのような場所にケンタがいたら、それだけで笑いがこらえられないじゃないですか。


「それでもいいわ。だって、ケンタくんの話をしている時のリリーって、すごく楽しそうだもの」


 楽しいことは楽しいのですが、王妃様に気を使ってもらえるほどの人物ではないからこそ余計に笑えてしまうのです。


 もしかしたら、ジェイン様より道化役が似合うかもしれません。


 わたくしがそう言いますと、ジェイン様はふん、と鼻を鳴らします。おや? どうかしましたか?


「恋のライバルな上に仕事まで横取りされてはなりません。わたしの方が道化にふさわしいとリリーさんに認めさせてみせますから」


 そして、とさらに言葉をつむぐのです。


「そして、リリーさんを恋人にしてみせますっ!! 覚悟しておいてください」


 それだけ言うと、ジェイン様は部屋を出ていってしまいました。


 その後すぐ、王妃様の笑いがはじけて大変な騒ぎになってしまいました。


「リリー、あなたやっぱりすごいわ。あのジェインをここまで本気にしせた女性はかつて居なかったもの」

「そうですよ、リリー。あなた大手を振って場内を歩けるわ」


 王妃様とケリーさんに交互に言われてしまいました。


 どうやら、わたくしはまた墓穴を掘ってしまったようであります。


 どうしてあの場面でケンタの名前が出てきてしまったのでしょう。


 そのせいで余計に恥ずかしさがうわ回ります。


 そうです。わたくしがケンタのスーツ姿を笑うよりも先に、おそらくケンタにドレス姿のわたくしを笑う方が先でしょう。


 どちらも田舎者丸出しですから。


 それにしてもケンタと踊ることはないでしょうが、ジェイン様と踊るのがますます気まずくなってしまいました。


 あのジェイン様を本気にさせたと言うよりも、意地になっているだけではないでしょうか?


わたくしはなんとも言えない気持ちで胸がいっぱいになってきました。

 

 一応はケンタが初恋ということにしてしまいましたが、それは真っ赤な嘘なのです。もしそれがバレましたら、わたくしジェイン様から嫌われる予感しかありません。


 でも不思議です。


 ジェイン様のことをあんなに迷惑だと思っていましたのに、嫌われるとわかったとたん、心が揺れ動くのです。


 これって、どういうことなのでしょうか?


     つづく

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