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「そうなのですっ!! ケンタはわたくしの初恋の相手ですし、今度実家に戻れた時には告白することに決めてあるのですっ!! ですから王妃様、どうか投影魔法をとめてください」
場面はペットショップからカフェまで映しております。ひょえ〜。
「そうねぇ。リリーがそこまで言うのなら、辞めておきますわ。もし王女が産まれた時に、リリーが居なかったら困るものね」
そうです。
投影機は消えてしまいましたが、すでに、ほとんど見られてしまっております。え〜ん。
「ごめんなさい、リリー。泣かないで?」
そう言われましてもわたくし、恥ずかしすぎて涙がこぼれ落ちてきています。
「もう、しっかりなさいなリリー」
ケリーさんはわたくしにハンカチを貸してくれました。
投影魔法のことを知っていましたら、最初から用心していたのですけど。一生の不覚です。
「ほら、パピーを抱っこしてあげて? ね?」
王妃様の腕から、パピーがわたくしの腕へと移ってきました。
「でもよかったわ」
ふっと優しげなまなざしでわたくしを見つめた王妃様は、心底安堵したような表情をお浮かべになります。
「パピーが城内に紛れ込んできただけなのかと思っていたから、この子のメンタルが心配だったの」
でも、と王妃様がつづけられます。
「でも、パピーがリリーを見つめる視線が母親を見るような目だったから。パピーもリリーに出会えてしあわせなのね。よかったわ。リリーはとても優しいのよ。だからもう、心配いらないわね」
王妃様。てっきりわたくしのことをのぞき見するだけだと思っておりましたのに、きちんとパピーのことも心配してくださっていらしたのですね。
「ってことで泣きやんで? ねぇ?」
王妃様に髪をなでられて、わたくしは頷くしかありません。
なんと幼稚な自分なのでしょう。見られて恥ずかしい場面ばかりでしたが、特になにかをしたのを見られたわけではありませんのに。
「それに、ジェインがリリーに本気だっていうのはわかったし。あとはリリーの恋の行方よね。本当にそのケンタくんが好きなのならば、週末の舞踏会に招待しましょうか? そこで告白するということもできますわよ」
……はいっ?
お話が大きくそれてきているような気がするのですけど。
わたくしだけでも場違いですのに、ケンタなんて田舎者丸出しですわ。
「ケンタのことは嘘です。申し訳ありません」
こんなことで嘘をついてもすぐにバレてしまいますので、思い切って本当のことを言いました。
「あら。それでもジェインの口から名前が出てくるほどには親しいのよね? だったらここは平等にした方がいいわよ。ジェイン、すぐにケンタくんに舞踏会の招待状とスーツ一式を送り届けてちょうだい」
そこでわたくしはぶふっと笑ってしまいました。
だって。スーツに着られるケンタを想像してしまいましたら、笑うしかないじゃないですか。
つづく




