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そんな国王陛下と王妃様だけしか知らない情報をうっかり話されてしまった王妃様は、ここだけの秘密よ、とウィンクして見せるのでした。
「ねぇ、母上。めかけってなに?」
はっ。ここにはまだほんの七歳のジョシュア様がいらっしゃるのでした。
ですが、王妃様はあわてません。毅然とした態度でジョシュア様に話しかけます。
「あなたが大人になればわかることよ。だけど、そうね。できれば奥さん以外の女性を好きになるのは辞めておいた方がいいわね」
そうおっしゃった王妃様は、まだお小さいジョシュア様の頬を両手で挟んでもみしだきます。
「お母上、痛いです」
「そうよ。浮気されると女はみんな心が痛むものよ。こういうのは子供のうちから教えておかなくちゃいけないものねっ」
それで、と王妃様はわたくしに向き直りました。
「ファーストキスはまだなの?」
「ま、まだです」
「リリー、顔真っ赤」
ジョシュア様に指摘されるまでもなく、顔が熱いのでなんとなくわかっておりますとも。
「あらまぁ。本当におぼこなのね、リリーは」
そのような当たり前のことを王妃様に言われてしまったのでは、もう返す言葉がありません。
「そうねぇ。ジェインもああ見えて悪い男じゃないし。付き合ってみたらどうかしら?」
わたくしは王妃様の言葉に喉がつまってしまいました。
そんな、今がお買い得ですよ、的なことを言われましても、わたくしの気持ちはまったくはっきりしておりません。
「とにかく。付き合ってみなければわからないことって多いと思うの。そうでしょう? ケリー」
「はい、王妃様」
そうして肩身の狭い思いをしていますところで、ジョシュア様がとことことわたくしに歩み寄って参ります。
どうかなされましたか?
「ジェインがうわきしたら、僕がリリーと結婚してあげるよ」
おやまぁ、と王妃様とケリーさんがあきれたようにわたくしを見つめます。
「それではリリーはジョシュアの未来のお嫁さん候補ね」
ほほほほほと、朗らかに笑う王妃様ですが。そんなっ。わたくしごときがそんなことあってはなりません。
「ともかく、一度は真剣にジェインのことを考えてあげて。せっかくだから、道化を卒業してもいいと思っているの」
だって、ジェインって万能なのだもの、と王妃様がつづけます。
わたくしはただ、ジェイン様に対して器用貧乏でいらっしよるのかしらと思っているのですが。いやはや。
つづく




