6ー3
わたくしたちがペット専門店のドアをくぐりますと、そこにはたくさんのペットたちが待っていました。
「ジェイン様、この子たち全員買い取りできませんか?」
そのかわいらしさにおもわずずうずうしい言葉が口をついて出てきてしまい、ヒンシュクを買ったのでした。
さて、パピーには赤い革の首輪とリード、体によさそうなフードにおやつ、水受けやエサ箱、もちろんおもちゃなどをも次々にカゴの中に放り込んでゆきます。ジェイン様が、です。
わたくしは選ぶまでもなく、簡単なゲージまで買ってしまいました。
後で陛下に叱られてしまうのではないでしょうか?
ふいに、あるおもちゃへと伸ばした手が、ジェイン様の手と触れてしまいました。
「あ。すみません」
わたくしがあやまると、ジェイン様が、いや、と言って顔をそむけておしまいになりました。
そんなに嫌でしたか? 内心ショックが大きいです。
「ではこれらはこちらでお支払いします。荷物はすべて、ロイヤルミルクティ城に配達してください」
とりあえず必要な首輪とリード、おやつなんかはそのままもらっておきまして、人生で初めて見るカード払いにくぎ付けになりました。
ペットショップから外に出ると、ジェイン様が御者さんとなにやら話をしております。
「今日はお天気がとてもよいので、あまった時間でおいしいものでも食べに行きませんか?」
「いいのですか? パピーの同伴も大丈夫でしょうか?」
「もちろんです。お城で食べるお菓子もおいしいですが、たまには庶民的なお菓子もいいものですよ」
日差しの中、ジェイン様がにこりと笑って。その笑顔がとてもとてもまぶしいので、わたくしは顔が熱くなるのがわかりました。
ジェイン様は、わたくしのことが嫌いではなかったのですか?
「それでは。どこから参りましょうか?」
わたくしは照れをかくすように顔をそむけますと、パピーの頭をよしよしとなでてあげます。
「パピーでも食べられるものがいいですよね? うふふっ」
「それではパンケーキのお店に行ってみましょうか?」
「はいっ」
不思議です。こういうのがデートだと思っていましたのに、これはデートではないのですよね?
「テラス席が空いているといいのですが」
「テラス席、素敵ですね。わたくしが住んでいた場所には、そのようなおしゃれなお店はありませんでしたから。唯一の贅沢は、ミルクを飲みながらチーズを食べることでした」
こんなこと、長々と言ってしまうなんて、わたくしは一体どうにってしまったのでしょうか?
つづく




