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わたくしが選んだ服は、花柄がプリントされたワンピースでした。
これに、足を慣れさせるためのパンプスを履いて。
髪はハーフアップにして出来上がりです。
予想より完璧な出で立ちですが、大丈夫なのでしょうか?
わたくしがドアを開けますと、パピーを胸に抱いたジェイン様がヒューと口笛を吹きました。
「よくお似合いです。さぁ、部屋に鍵をかけて。参りましょう」
わたくしは気分も華やかにたいへんかわいらしいパピーを抱いて、ジェイン様の後を付いて歩きます。
廊下のあちこちには、わたくしがお城にやって来た時よりたくさんの兵士さんたちが警備を固めてくれております。
そんな彼らではありますが、時おりわたくしたちを冷やかす声もあがったりしました。
わたくしは恥ずかしくてついうつむいてしまいましたが、ジェイン様はいつもの軽口で飄々とかわしてしまいます。
これって、わたくしが緊張しているから、緊張をほぐすためなのだと思うのですが、事情を知らない女性職員さんたちは卑怯だとずるいだとか口々にののしってくれます。
そんな時、ジェイン様はただの仕事だよ、とか、きみの方がかわいいよと言った言葉が息をするようにすべらかに口から出てきてきます。
さすがでございます。
ですが、わたくしは少々気に障ってしまいました。
いくら仕事とはいえ、わたくしはその程度の女なのですか?
わたくしのことは絶対に口説かないジェイン様がうらめしくてなりません。
そんな時、胸に抱いたパピーがわたくしの顔をこれでもかと言うほどなめてきます。
犬って不思議ですわよね。人間の心の機微までをも感じ取ってしまうのですから。
ともかく、そうして門の外へ出て、馬車に乗り込む際に、ジェイン様から差し出された手を複雑な気持ちで取り、乗り込みます。
その際、わずかにパピーが暴れましたが、よしよしとなでてあげたら落ち着いてくれました。
「ああ、わたくしお金を持って来ませんでしたわ」
お買い物がうれしくて、ついお財布を持つのをわすれてしまいました。
なにしろお城の中ではお金を使うことはほとんどありませんから。
「平気ですよ。国王陛下からブラックカードを預かってあります。パピーは今後、城の守り犬になってもらう予定ですから、お金に糸目をつけずに買い物をしてもよいことになっております」
まぁ、なんと太っ腹な陛下なのでしょう。
ですが、そうですね。将来は立派な番犬となるよう、わたくしも必死になってしつけなければなりませんね。
馬車に揺られてゆくと、街の喧騒が耳に響いてきました。
さすがは文化の国、ロイヤルミルクティ国です。街のそこここが珍しいものであふれております。
「それではまず、パピーの買い物から始めましょうか」
ジェイン様に導かれて馬車を降りますと、看板には美しい筆記体で『ペット専門店』と書いてあります。
これは、期待が大きいですわっ!!




