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王妃様を休ませているところへ、従者を引き連れてジョゼフ国王陛下とジョシュア様がお部屋を訪ねていらっしゃいました。
「襲撃されたと聞いたが、大事なかったか?」
「はい。リリーがとても勇敢に戦ってくれましたの」
陛下と王妃様はこちらが恥ずかしくなるほど今でも仲良しです。
「そうか。礼を言うぞ、リリー」
「ありがたき光栄です。てすが、最後はジェイン様に助けてもらいました」
「ほう、ジェインがか。それは珍しいな」
珍しいのですか?
だって、王妃様のためでございましょう?
「あわてておりましたので、ドアを壊してしまいました。申し訳ございません」
「よいのだ。それよりジェインよ、リリーのことは本気なのか?」
……はい?
「いいえ、まだなんとも。ただ、他の女性とは違うなと思っているだけです」
「だから口説かないのか?」
なるほど、と陛下は顎に手をあてて考え込みます。
「時にリリーよ。舞踏会に出るにあたって、踊れるだろうか?」
「あの、舞踏会は王妃様の付き添いですよね?」
そうでなければ困ります。
「いいや。舞踏会は好きに参加してよいことになっておる。せっかくジュリアの部屋に居るのだ、ダンスを習うのもよいだろう」
「あ、あの。その物言いですと、わたくしが舞踏会に参加することが前提となっておりますが?」
「もちろん参加してもらう」
断定、ですわね。
「それでしたらわたしがお教えしますが?」
「ジェインが教えたのでは意味がない。ケリーも一緒に教えてやってくれ」
「はい。もちろんでございます」
……はいいいいいっ!?
「ま、待ってください。わたくしはダンスなんてこれまでやったことがありませんし、それにどんくさいですしっ」
「どんくさいのは認めるけど、将来僕と踊ることもあるだろうから、今のうちに覚えておいてよ」
……ジョシュア様にこう頼まれたのでは、お断りするわけにはいきません。
「承知いたしました。がんばります」
「そうしょげるな、リリー。初めてのダンスの相手はジェインと決めてあるのだ。ジェインならば、失敗もすぐにフォローしてくれるさ」
はははと笑われる陛下ですが、ジェイン様に恥をかかせないよう、精一杯がんばります。
いや、まさかこのわたくしが舞踏会でドレスを着て踊る日が来るなんて、想像すらしておりませんでしたわ。
つづく




