5ー2
わたくしにあてがわれた部屋が爆発したとなれば、それはやはりファレスさんの仕業に違いありませんが、なんてことをしてくれたのでしょうか!?
わたくしの私物は少ないものの、お借りしているたくさんの本が焼けてしまうではありませんかっ。
そんなの絶対にゆるしませんわっ!!
「王妃様、やはり今は着替えてもよろしいでしょうか?」
「あら、とっても似合うのに残念だわ」
ぱぱっとドレスを脱いで侍女服に着替えましたが、編み上げブーツの脱ぎ方がわかりません。
しかたなく、ブーツのまま状況を見守ります。
そこで部屋をノックする音が聞こえました。
「どうぞ、お入りなさい」
「はっ。失礼いたします」
そう言ってお部屋に入ってきたのは顔なじみの門衛さんです。
「なにがあったのですか?」
王妃様に問われた門衛さんは、丁寧にドアを閉めるとがちゃりと鍵をかけてしまいました。
わたくしはとっさに王妃様の前に出て、魔法でドーム状の盾を作ります。
はたして、彼は口が裂けてトカゲ人間に変身してしまいました。その長い舌先は、いやらしく口をなめています。
「あなたはファレスさんの味方なのですねっ!?」
盾のおかげでトカゲ人間の口から放つ炎は防げましたが、王妃様の大切なお部屋が火に包まれてしまいました。
「い〜や。おれを人間に変身させてくれたのはファレス様だ。ファレス様のためならおれは、何回だって火を噴くことができる」
そう言うと、男はげほげほとむせ始めました。
「あなた、火を噴くたびに身体が燃えているのでしょう!?」
「だからなんだよ? へん。田舎娘の癖してファレス様の立場を横取りするとはいい度胸だな」
「え〜と、たくさん間違いがありますが、今は訂正する時間がありません。精霊よ、我が剣に力をやどせ!!」
今度は出し惜しみなく、魔剣を発動させました。まずはトカゲ男の舌先を斬り裂きます。
「ぐえっ。魔剣が使えるなんざ、聞いちゃいないぜ?」
ですが男の舌はすぐに再生してしまいました。
「精霊よ、我が剣にさらなる力を!!」
魔剣は先ほどより大きく、ぎざぎざの形に変わっています。その剣で、トカゲ男の手を斬りますが、すぐにまた再生してしまいます。
これは、さすがにピンチ再びです。
でも、負けるわけにはいきません。わたくしはなんとしてでも王妃様を守らなければならないのですからっ。
つづく




