5ー1
鶏の全滅は、あっという間に城内で知れるところとなりました。
と、同時に。王妃様への警備がさらに厳重になりました。
それは王妃様だけではなく、ジョゼフ国王陛下やジョシュア様も同じです。
わたくしたちもいつもより緊張感をたかめて王妃様とせっしております。
「リリーにはこのドレスが似合うと思うんだけど、どうかしら?」
それでも王妃様は気丈に振る舞い、わたくしに似合うドレスをあてがってくれます。
「とても綺麗なドレスですね。でもわたくしは、このドレスを着るようなことはありませんから」
「いいえっ!! ジェインとデートする時や舞踏会などではドレスを着なくちゃいけないわよ?」
「ですがもし、汚してしまったらと思うと気が引けます」
淡い黄色のドレスはレースをふんだんに使って仕上がっております。
「汚れたら浄化魔法をかければいいだけのこと。ね? 今ちょうど退屈していたところなの。試着してみない?」
わたくしはごくりとツバを飲み込みました。
「そうですよ。リリーだって年頃の女の子ですもの。王妃様がこうおっしゃってくれているのだから、試着してみたらどう?」
ケリーさんまで。
自慢ではありませんが、スカートは苦手意識があるため、実家に居た頃は自分でズボンを縫ったものです。
そんなわたくしがドレスだなんて。
「さぁさぁ、侍女服を脱ぎなさい」
ケリーさんはドレスを片手にわたくしの侍女服を脱がせにかかっております。
ここで変に抵抗しても意味がありませんから、わたくしは渋々侍女服を脱いでドレスに着替えました。
「ほら、やっぱり似合うわ。それとこの編み上げブーツを履いてちょうだい」
ブーツまで用意されて、わたくしはリアル着せ替え人形のようにおぼつかない動きで王妃様とケリーさんの笑いを誘います。
「あ、あのぅ。そろそろ着替えてもかまいませんか?」
「わたくしはね、リリー。侍女たちもおしゃれを楽しんでもいいと思っているのよ?」
「いや、ですがもう……」
断る言葉もみつかりません。
その時です。わたくしが使わせていただいている部屋の方から爆発音が聞こえてきました。
「ファレスかもしれないわね。リリー、王妃様とここで残って。わたしが現場を見に行きます」
ケリーさんはスカート部分を両手で持ち上げて部屋を出て行かれます。
これは、どういったことなのでしょうか!?
つづく




