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さて、こうして朝から晩まで様々な知識を詰め込むわたくしですが、こうなるとやはり癒しの時間が必要となってまいります。
わたくしは王妃様に断りを言わせてもらい、時々裏庭の動物さんたちに癒されるようになりました。
さすがに鶏は触れませんが、牛や馬などはブラッシングをしてあげられるほど仲良くなりました。
もふもふの癒し、これはもうたまりませんわっ!!
ですがそう簡単に心の闇が消えるわけではありません。
ファレスさんのように黒魔術に長けて、王妃様の命を奪おうとするほどの深い闇ならばなおさらです。
そして、それは起きてしまいました。
ある朝、鶏小屋に向かうと門番さんがなにやらひしめきあっております。
「あの、どうかなされましたか?」
「ああ、リリーさん。今日は卵を取ることはできませんよ。なにしろ鶏が全羽死んでしまったのですから」
「まぁ!? イタチかなにかの仕業でしょうか?」
「いいえ。どうやら例の黒魔術のようでして」
門番さんは急に声をひそめます。
「わたしらが番をしているのですから、鶏が襲われていれば声が聞こえるはずなのです。ですが、一羽として声を上げなかったのです」
「それは、ファレスさんの仕業でしょうか?」
「おそらくは。リリーさんも気をつけてくださいね。どうやらファレスさん……、いや、ファレスはあなたのことを逆恨みしているみたいでしたから」
「逆恨み、ですか?」
たった二日でそこまで恨まれる覚えはありませんが。はて、ジェイン様を独占していたせいでしょうか?
「リリーさん、綺麗だし、ジェイン様とも仲が良さそうですからね。彼女、わかりやすく色男が好きでしたからね」
色男を好きになる、ということは、様々な葛藤があるはずですのに。
「と、言うより。リリーさんはジェイン様のことが好きでしょう?」
「はいっ!? そんなことありませんよ?」
「でも、一度としてジェイン様から口説かれていないでしょう?」
「そうですが。たまたまわたくしが彼の好みではないのではないでしょうか?」
「いいや。ジェイン様は節操なしですからね、ケリーさんでさえ口説かれてますよ?」
「む〜です。わたくしだけ口説かれていないのはなぜでしょう? わたくしそんなに魅力がないのでしょうか?」
「ジェイン様、ああ見えてやっぱり道化ですからね。本気で自分を好きになる女性は口説かないんじゃないですか?」
「それを言ったらファレスさんですよ。だって、本気でジェイン様のことを好きでしょう?」
「いいや。あれは単なるミーハーでしょうね」
ミーハー? う〜む、ジェイン様ってば本当に罪深いですわね。
つづく




