3ー3
本日も、鶏より先に目が覚めましたわっ!
……あら、お城の中では鶏の声は聞こえませんよね。
ですが、早起きをしてストレッチした後に身支度を整え、髪を編みます。
ばっちりです。なんなら朝食作りに貢献しますわ、とばかりに部屋を出ますと。
「おはようございます、リリーさん」
「おはようございます、ジェイン様。ずいぶんとお早いのですね?」
ジェイン様。朝から身のこなしが優雅ですわ。
「リリー様が早起きなのは存じておりますので」
「あら? わたくしのせいですか?」
「そうではありませんが。そうだ、裏庭に行ってみませんか? うまくすると、生みたての卵を手に入れることができますよ」
ジェイン様は人差し指を唇に当てて、ニヒルに微笑んでいらっしゃいます。
そうですか、裏庭には鶏がいるのですねっ。うまくすると鶏をなでられるかもしれないのですねっ。
「行きます!! 鶏をなでてもいいのですよね?」
「ふふっ。リリーさんのかわいいもの好きはリサーチしてありますので、ヤギに牛、羊に鶏など、裏庭はちょっとした動物園のようなのですよ」
「わぁ。どの動物もなでてもいいのですか?」
「彼らの同意が得られたら、ですが」
「それは楽しみですわっ」
羊がいるということは、冬はウール百パーセントのセーターを編むこともできますわねっ!!
素敵すぎますわっ。
ジェイン様に案内されて、またしても廊下を歩きます。
「本日はジョゼフ国王陛下にお会いしてもらう予定となっております」
「まぁ、国王陛下にですかっ!?」
そこでわたくしは、昨日ケリーさんから口をすっぱくして言われたことを思い出しました。
そう、陛下のお顔を二秒以上拝見してはならないというルールです。
それ以上拝見してしまったら、恋に落ちてしまうとのこと。
たったの二秒でしたら、最初から頭を上げなければよいのでは? と思ったのですが、それはそれで陛下に失礼です。
わたくしは心の中で、二秒、二秒と繰り返し唱えます。
「こちらが裏門となっております」
ジェイン様に案内されて門番にあいしつをかわして裏門から外に出ます。
そこは素敵な農園のようになっておりました。
まずは質素な鶏小屋があり、前方に広がるは牛小屋に馬小屋。彼らが自由に行き来できるようにされた牧場まで見えます。
「わぁ、やはり素敵ですね」
「いっときはこちらでカピバラも飼育されていたのですよ」
「はわぁ〜。カピバラに触りたいですぅ〜」
煩悩全開のわたくしに、ジェイン様はあきれたように微笑むのでありました。
つづく




