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3ー1

 初日は国王陛下に会うことなく、終わってしまいましたが。


 わたくしにあてがわれたお部屋はたくさんの書物やレコードに囲まれておりました。


 仕事を終えて部屋に戻るなり、それらを見るととてもうれしくなりました。


 わたくしが一人、感動しておりますと、部屋をノックする音が聞こえました。


「リリーさん、少しよろしいでしょうか?」


 ジェイン様ですわ。


「はい、どうぞお入りください」


 わたくしがドアを開けると、大きな荷物を抱えたジェイン様と、そのお付きの方が待っておりました。


「こちら、約束の手芸道具です。編み物用品やミシン、それに布地やそれらにまつわる本をご用意いたしました。部屋に運び入れてもよろしいですか?」

「はいっ。ありがとうございます」


 まさかミシンまで用意してくださるとは思っておりませんでしたので、とてもうれしくて、わたくしまたまた感動してしまいましたわ。


「あの、このお部屋の本ですが。わたくしが読んでもいいのでしょうか?」


 おずおずと聞きますと、ジェイン様はもちろんです、と太鼓判を押してくださいました。


「実用書から小説、専門書まで用意しておりますからお好きに読んでください。それでも足りないものがありましたら、言いつけてください」

「はい。とてもうれしいです」


 わたくし、感動がすぎて泣いてしまいました。


「後日、ご実家に電話をひかせてもらいますから、部屋の電話も好きにかけてください」

「わたくし、ここまでしてくださって、とても感動しているのです。ジェイン様、本当にありがとうございます」


 実家はまだ電話がひけておりませんから、助かります。これでいつでも家族と連絡がとれますわ。


「それとこちら。お役に立てるかわかりませんが、礼儀作法の本当にです。すでにリリーさんは丁寧な物言いですので必要ないかもしれませんけど、一応お渡ししておきます」

「重ね重ねありがとうございます。実のところ、礼儀作法はまだまだ知らないことばかりですので、助かりますわ」


 と、そこへかわいらしい靴音がかけ足でやって参ります。


 ふっと廊下を見やると、そこにはジョシュアさまがかけていらっしゃいました。


「リリー!!」

「ジョシュア様、どうなさったのです? こんな時間に」


 ジョシュア様は従者しんを付けておいででしたが、あたりはすっかり暗くなっております。


 さて、ジョシュア様は何用なのでしょうか?


     つづく

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