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FILE 02 闇夜の追跡者

熟年夫婦ハードボイルドアクション

探偵物語。AIロボットケロ助も活躍

あらぎ島ソーリュージャーの日常番外編

今回はどんな依頼かな

妙な依頼人


「おやっさん、ちょっと頼みたいことがあるんや」


理容室の椅子に座った男が、鏡越しに声をかけた。


「なんや?」


「うちの社員のことなんやけどな。最近、どうも様子がおかしいんよ。仕事終わりに妙なところへ出入りしとるらしい。ちょっと調べてもらえんやろか」


おやっさんはハサミを動かしながら、鏡の中の男を見た。


「素行調査か」


「そういうことや。大げさな話やないんやけど、気になってな」


「名前は?」


「田島いう男や」


おやっさんはそれ以上聞かず、静かに頷いた。


「わかった。調べてみるわ」


そのとき、店の奥からケロ助が顔を出した。


「また調査でっか。今度は平和な仕事やとええんですけどなあ」


「お前が言うな」


おやっさんは淡々と答えた。


### 尾行


翌日の夕方。


仕事を終えた田島は、駅とは反対方向へ歩き出した。


おやっさんは少し距離を置いて、その後を追う。


田島は何度も後ろを振り返り、やがて町外れの道路へ出た。そこからさらに進み、人気のない山道へ入っていく。


「ずいぶん遠くまで行くなあ」


通信機から、ねーさんの声が響いた。


「おやっさん、こっちは準備できとるで。いつでも行けるわ」


「まだや。もう少し様子を見る」


「じれったいなあ。突っ込んだらええやん」


「何に突っ込むんや」


「そら、事件に決まっとるやろ!」


おやっさんは小さく息を吐いた。


田島が向かった先には、古い採石場があった。


そこには数台のトラックと、黒い服を着た男たちが集まっていた。


田島は物陰に身を潜め、何かを確かめている。


そのときだった。


男の一人が田島の存在に気づいた。


「誰だ!」


田島が逃げ出す。


男たちが追いかけ始めた。


おやっさんは無線に向かって短く告げた。


「ねーさん、出番や」


「待っとったでぇ!」


### 採石場の秘密


黒いバイクが山道を駆け抜けた。


ヘッドライトが闇を切り裂き、ねーさんの背中にはケロ助がしがみついている。


「ちょ、ちょっと! 飛ばしすぎですって!」


「黙っとき! こういうときは勢いが大事や!」


「勢いで命まで飛ばさんといてください!」


採石場に到着したとき、田島は男たちに取り囲まれていた。


「何を見た?」


男の一人が田島の胸ぐらをつかむ。


「知らん! 俺は何も――」


その瞬間、乾いた音が夜の空気を裂いた。


男の手から拳銃が弾き飛ばされる。


「そこまでにしとき」


おやっさんが、採石場の入口に立っていた。


男たちが一斉に振り向く。


「何者だ!」


「理容師や」


「ふざけるな!」


男が銃を構えた。


次の瞬間、おやっさんの姿が消えた。


いや、正確には、男の視界から外れただけだった。


銃声が響く。


ねーさんがバイクから飛び降り、男の一人を蹴り飛ばした。


「夜中に人さらいとは、ええ度胸しとるやないか!」


「ねーさん、右!」


ケロ助の声に反応し、ねーさんが身をひねる。


背後から迫った男の腕をつかみ、そのまま地面へ叩きつけた。


「ほら、もう一丁!」


「一丁で十分です!」


ケロ助が叫ぶ。


採石場の奥では、男たちがトラックへ武器箱を積み込んでいた。


「ケロ助、あれは?」


「武器でっせ。しかも、かなりの量ですわ。おまけに書類も偽造品ばっかり」


「なるほどな」


おやっさんは静かに歩き出した。


男たちが銃を向ける。


しかし、その動きは一瞬だった。


銃声。火花。倒れる男たち。


ねーさんの怒声とケロ助の警告が飛び交う中、採石場は瞬く間に制圧された。


最後に残った男が、おやっさんの顔を見て凍りついた。


「……お前、まさか」


おやっさんは何も答えない。


男は震える声で続けた。


「お前は一体、何者なんだ……」


「ただの理容師ですよ」


おやっさんは、いつもの調子で答えた。


その男の顔から、血の気が引いた。


### 報告


翌朝。


理容室に田島が訪れた。


「昨日は、本当にありがとうございました」


おやっさんはハサミを置き、椅子を勧めた。


「怪我はなかったか?」


「はい。おかげさまで」


田島は深く頭を下げた。


「実は、あの採石場で武器の密売を見つけてしまったんです。気づかれたらどうなるかと思って……」


「もう大丈夫や。警察には話が通っとる」


おやっさんは、簡単に調査結果を説明した。


「武器と書類は押さえられた。関係者も何人か捕まっとる。あとは警察の仕事や」


田島はようやく安心したように息を吐いた。


「そうですか……。本当に助かりました」


そのとき、店の入口からねーさんが顔を出した。


「おやっさん、コーヒー飲む?」


「頼むわ」


「田島さんも飲んでいき。昨日は大変やったなあ」


ねーさんは笑顔でカップを置いた。


ケロ助がその頭の上で、得意げに胸を張る。


「今回も見事な連携でしたな!」


「お前、途中で落ちかけとったやろ」


「それは言わん約束です!」


店内に笑い声が響いた。


田島が帰ったあと、おやっさんは再びハサミを手に取った。


いつもの理容室。


いつもの仕事。


だが、町のどこかでは、また別の事件が動き始めていた。


読んでくれてありがとう

あと一話はつづくかな

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