FILE 03 悪党たちの晩餐
熟年夫婦ハードボイルドアクション
AIロボットケロ助も活躍
今回は一通の封筒からおやっさんの過去が?
招待状
その日の夕方、理容室に一通の封筒が届いた。
差出人の名前はない。
中には一枚のカード。
『午後九時。旧ホテル・オリエントにてお待ちしております』
おやっさんはカードを裏返した。
そこには、黒い円に銀色の線が入った紋章。
「黒曜会か……」
ケロ助が頭をひょこっと出す。
「また、ろくでもない招待状ですな」
「行くん?」
ねーさんがコーヒーを飲みながら尋ねた。
「せっかく呼んでくれとるんや。顔くらい出さんとな」
「ほな、バイク出しとくわ!」
### 夜のホテル
午後九時。
山あいに建つ旧ホテル・オリエントは、何年も前に閉鎖された廃墟だった。
黒いバイクのヘッドライトが、錆びた門を照らす。
「歓迎されとるようには見えんなあ」
ねーさんがサングラスを直した。
「歓迎会やないからな」
おやっさんはエンジンを切った。
ケロ助がねーさんの頭の上で周囲を見回す。
「赤外線反応、多数。しかも武装しとりますわ」
「そら、楽しみやな!」
「楽しみちゃいますって!」
ホテルの入口が開いた。
中には黒いスーツの男たちが並んでいた。
その奥、壊れたシャンデリアの下に、一人の男が座っている。
「来たか。おやっさん」
黒崎だった。
「呼ばれたんでな」
「ずいぶんと余裕だな」
黒崎が指を鳴らす。
次の瞬間、周囲の男たちが一斉に銃を構えた。
「おいおい。晩餐会に銃は似合わんで」
おやっさんは、ゆっくりと上着を脱いだ。
「ねーさん」
「はいはい。任しとき!」
ねーさんが笑った。
### 晩餐会の始まり
銃声がホテルの廊下に響いた。
ねーさんは柱の陰から飛び出し、男の腕を蹴り上げる。
「食事の前に運動や! 健康的やろ!」
「健康的なのは、ねーさんだけです!」
ケロ助が叫ぶ。
おやっさんは、正面から迫る男をかわし、肘を入れ、足を払う。
倒れた男の銃を蹴り飛ばし、次の男の攻撃を受け流した。
動きに無駄がない。
まるで、相手が何をするか最初からわかっているかのようだった。
やがて、広間に立っているのは黒崎だけになった。
「……やはり、お前か」
黒崎は苦笑した。
「何度見ても信じられん。お前は一体、何者なんだ?」
おやっさんは、床に落ちた上着を拾い上げた。
「ただの理容師ですよ」
黒崎の表情が変わった。
「その言葉……」
「もうええか。明日は朝から予約が入っとるんや」
ねーさんが横から口を挟む。
「帰ろ帰ろ。こんなとこおったら、服まで臭なるわ」
ケロ助が小さく頷いた。
「同感です。埃だらけですわ」
三人は何事もなかったかのようにホテルを後にした。
### 黒曜会の恐怖
ホテルの地下。
黒崎は、奥の部屋にいる男へ報告していた。
「申し訳ありません。計画は失敗しました」
男は古い写真を見つめていた。
写真には、数人の男が並んでいる。
そのうち一人の顔だけが、黒く塗りつぶされていた。
「……あいつに手を出したのか」
「はい」
男はゆっくりと顔を上げた。
「黒崎。今後、あの男には一切手を出すな」
「しかし……」
「これは命令だ」
黒崎は黙って頭を下げた。
### 翌朝
理容室は、いつもどおり営業していた。
「おやっさん、今日の予約、三人やで」
ねーさんが帳簿を確認する。
「そうか」
ケロ助が頭の上から声をかけた。
「ところで、次の依頼が来てますわ」
「何や?」
「猫が一匹、行方不明らしいです」
おやっさんはハサミを置いた。
「……今度こそ、平和な仕事やとええな」
ねーさんが笑った。
「それ、毎回言うとるやん!」
店の外では、黒い猫が一匹、日向ぼっこをしていた。
首輪には、黒い円に銀色の線。
その小さな紋章が、静かに光っていた。
謎が深まるおやっさんの過去
どんな過去を持っているのか




