【第四十六話】『実事求是』
法綱さんと本井さんになんとか僕の意図が伝わったところで、場所を変える事になった。
管理課?の方からは法綱さんが同行する事を条件に許可がおりたみたいだ。
『それじゃあ、移動先は「あの」カフェでいいかい?』
『はい。』
『え〜・・』
1人渋る人がいた。
『思い出壊される〜』
法綱さん、大変だな。
『嫌ならさっちゃんに場所を提案してもらうよ?』
『私、エンカンパスの「夢幻」がいいです。お腹空いてるんで。』
本井さん、すでに事情聴取という目的から外れていますよ?
事情聴取といえば、何かそういうシーンではカツ丼を食べるのが定番という話を父さんから聞いたような・・
『来問くんもその店でいいのかい?』
急に本井さんがハッとした顔で僕を見た。
『ああ、僕は大丈夫ですよ?もう倒れたりしませんから。』
本井さんはちょっと気まずそうな困り顔で僕を見ていたが、僕がサムズアップしたら笑ってくれた。
『では夢幻にいきましょうか。あの店ならむしろ説明もしやすいと思います。』
こうして、僕への事情聴取を行う場所は因縁?の「天ぷら夢幻」に決まり、すぐさま移動する事になった。
『あ、そういえば僕の両親、大丈夫かな?急に家からいなくなったから。』
『それはマズイねぇ。こっち側としては本来フォローすべきなんだが、「そちら側」にとっては公的機関じゃないから権利も説得力もないんだよねぇ・・』
ですよね・・・。
『じゃあ、一旦家に顔出してから行ってもいいですか?あと親の説得するついでに学校にも休む連絡した方がいいですよね。』
『こっちの都合でこんな事になっているのに申し訳ない。その段取りでお願いするよ。』
法綱さんは了承してくれたみたいだ。
ん?本井さんはボーっと聞いている。
『さっちゃん、ポンコツがはみ出てるよ?』
『なっ⁉️誰がポンコツですかっ❗️』
よし。ここまで動かせればあと一歩で僕の狙っている目標ラインに届く。今学校で授業を受けているだろうアイツを何とか引き込まないと・・
【縁サイド】
来問が来てないな。先生も連絡は受けていないようだし・・
まさかアイツ、無茶な真似して捕まったりしてないよな・・?
しかし無茶な真似といっても、こちらから敵側の世界に行く手段は無いからそれは大丈夫か。
・・ん?
窓の外に誰かいるな・・来問か?
いや、あのフード・・
・・正史⁉️
アイツ、しばらくはこっちに戻れないとか言ってなかったか?
教室にいる俺に向けてなんかアピールしてるが何かあったようだな。
『先生❗️調子が悪いので今日は早退しますッ❗️』
『健康の代表みたいなお前が、珍しいこともあるもんだな〜。まあ人間だし、体調悪い時もあるか。
寄り道しないで帰るんだぞ〜。』
『ありがとうございますッ❗️』
ダッシュで校舎から飛び出し、正史と合流した。
『正史ッ❗️1週間後じゃなかったのかッ⁉️』
『いや、向こうで奴らに捕まりそうになってさ、こっちに逃げて来たんだけど』
『すぐ戻って来れてるじゃないか。』
『いやこれが、不幸中の幸いというか、不幸の等価交換というか・・』
『等価交換?』
『代わりに兄貴が捕まっちまった』
『何だとッ・・⁉️』
『ホントに奇跡というか、偶然だったんだよ。
俺が転移して向こうに行ったら、SMSの奴らがいて追いかけられてさ。散々逃げたけどしつこいんだよ、アイツら。
逃げ場がなくなって転移元の部屋に戻って来たら、1週間は開けられないはずのドアが勝手に開き始めてさ。
迷わず飛び込んだら、ドアを開けたのが兄貴だったんだよ!』
『来問、アイツはどこで何をやってたんだ・・』
『ああ、兄貴は自分の家にいたんだよ。
で、記憶が戻ったから、俺の部屋があった場所が気になったんだろうな。
兄貴もチャネラーだから、ワンチャンあるかもと思ったけど。』
『ワンチャン?何があるんだ?』
『俺と同じ「能力」だよ。』
『・・どんな能力なんだ?』
『ホントはもう俺の部屋はあの家にはない。
改変されたからな。でも、空間だけは変わらず存在してる。
そこを記憶操作で認識できないようにされてるんだが、俺や兄貴にはそれがわかっちまう。改変前の記憶があるからな。
それで、存在していた時の空間を一時的に呼び戻しちまうんだ。
その結果、俺が使ってた部屋は、別のレイヤーに繋がる転移空間に変異したんだよ。』
『聞いただけでもだいぶ危険な力だな。』
『俺も原理はよくわかってないけどな、おかげで生き延びられたからラッキーだ。』
『・・それで正史、お前の兄貴はどうなった?』
『あっ❗️危ねぇ忘れるとこだった?
俺はそれでここに来たんだよ❗️
兄貴を助けに行きたいんだ。』
『敵の本拠地にか?』
『ああ、兄貴は多分、管理下に連れてかれてる。』
『だが、行くにしても行き方がわからないし、何の準備も対策も無しに行くつもりか?』
『兄貴に何かあってからじゃ遅いんだよ❗️』
『それはわかるが落ち着け❗️
いきなり来問の命に関わるような事が確実に起きるのか?』
『それはわからないけど・・』
『それに、何かするには最低でもコンディションを整えるくらいはしないと駄目だ。』
『何だよそれは』
『まずはメシを食え』
『こんな時に・・』
『こんな時だからこそだ❗️食べれる時に食べておかないと、いざという時に動けなくなるぞ』
『・・わかったよ。確かに、少し焦ってたかも知れない。ありがとな、縁先輩。』
『気にするな。俺だって、力を貸すからには最高のコンディションで望みたいからな。
それで、メシは何にするんだ?』
『そりゃあ、メシを食うなら決まってるしょ❗️』
一同は期せずして「天ぷら夢幻」に集結した。




