【第四十七話】『忘形酔生』
自宅に帰り、母さんに事情を何とか説明した。
その後2階に上がり、自分の部屋に置き去りだったスマホをゲットし、学校にも休む連絡をした。 正史の部屋を調べてみたが、ドアは消えていた。正史の姿も見当たらない。
アイツ、どこに行ったんだ?
若干のモヤモヤを抱えながら僕は家を出た。
『お待たせしました。』
『面倒かけちゃってすまないね。それじゃ、行こうか。』
『先輩はちゃんと来問くんの周りを警戒してください。いつまた誘拐されるかわからないんだから。』
そう言って僕の隣にくっついてきた本井さんは、
『来問くん、ホントに大丈夫?』
僕の顔を覗きこんできた。
『ホントに大丈夫ですよ。ちゃんと記憶戻ってます。「今のも昔のも」』
『それは興味深いねぇ。音無萌音とはまた違う回復傾向・・いや完全修復だねそれは。一体どうやったんだい?』
『いや、僕自身が何かしたわけじゃないんで・・』
『そういう話はお店に入ってからにして、今はちゃんと護衛してください❗️』
『それ、先輩に言っちゃうセリフ?』
2人の関係は相変わらずだなぁ。
・・
僕達は「エンカンパス」に到着した。
『なんか、最近来たばかりなのに久しぶりって感じもするなぁ。』
『私とお買い物デートしたよね!』
『デート・・ですか!?』
『フッフ〜♪』
『さっちゃん、任務・・』
『キィ〜ッ❗️』
本井さんが野獣化してる。
『ほら、本井さん、夢幻につきますよ〜。』
『あっ!私、剣山にする〜♪』
『さっちゃん、それが今日の目的ではないからね・・』
『わかってますよぅ❗️』
不満げな顔しながらもスキップしながらお店に向かう本井さん。
『剣山、剣山〜♪』
『久々に剣山だぜ〜❗️』
ん?
『ん?』
『あ?』
『『『ああああ〜っ⁉️』』』
『兄貴っ‼️』
『正史っ‼️』
『マサシくん‼️』
『おお、来問ッ❗️無事だったかッ❗️』
『縁も❗️』
『マサシくんを発見❗️
先輩、来問くんを守って❗️』
『まさかここで接触するなんて、タイミングがすごいねぇ』
あ、もしかして本井さん、正史を捕まえるつもりじゃ・・
正史もなんか身構えてる!
ここは僕が止めなきゃ!
『ちょっと全員スト〜ップ❗️』
全力の声で僕が割り込んだ瞬間、
『お客さんちょっとォ❗️店の前で騒がれちゃ困るんだよ❗️ケンカなら他所でやってくれ‼️』
『あ、すいません・・・』
『どうすんの?うちで食べてくの?』
『あ、はい、お願いします・・・』
『はい、いらっしゃいませぇ❗️5名さまご来店〜❗️』
僕達は夢幻の店主に一喝され、みんな揃って店に入ることになった。
・・・
・・
案内されたのは6人掛けのテーブル。
僕の右手に法綱さん、左手に本井さん。
僕の向かいに正史、正史の右手に縁。
今回はこのフォーメーションで事情聴取が行われる・・
配置おかしくないか?
『何で兄貴がそっち側に座らされてるんだよ❗️』
『そりゃあ、現状としてここは「事情聴取の場所」となっているからねぇ。』
『だったら向かいに座らせるべきだろ。』
『一応、身柄拘束中だからさ、側にいないといけないんだよね、僕は。』
『・・じゃあ姉ちゃんは?』
『私は、私も同じです❗️』
『全然同じじゃないよ〜、さっちゃ〜ん。
君はそこにいるマサシくんを捕まえる任務なんだから、さっさとそっちいって捕まえなよ。』
『何だぁ⁉️やんのかコラァ❗️』
『私はもう来問くんを誘拐されたくないので、ここから動きませんっ❗️』
縁はため息をついている。
どうするんだよ、これ。
『お待たせしましたーっ!ご注文をどうぞ!』
ナイス!店員さん!
『『剣山でっ❗️』』
『あ〜ん⁉️』
『むぅ〜!?』
大食いコンビよ、仲良くやってくれ。
『剣山が2つですね〜。他のお客様、どうぞ!』
『カツ丼ひとつ。』
法綱さん!これは事情聴取のシーンを再現する気だ!
『俺もカツ丼・・』
縁!お前もか!
『・・を特盛りで❗️』
何だとぉ!そこは遠慮して普通盛りじゃないのか!?
『カツ丼2つ、ひとつは特盛りですね〜。』
『・・いや、やはり僕も特盛りにしてもらおう。』
法綱さんが挑発に乗った!?
『フッ・・』
『フッ・・』
何それ。
何で需要のない戦いしてんの?
『お客様は?』
『あっ、はい、日替わり定食で。』
みんなの視線が僕に向いた。
・・なんで?
『へっ、姉ちゃん。剣山を頼むとは中々やるな!』
『私を甘く見ない方がいいよ、マサシくん。
どう?勝負してみる?』
『面白え❗️俺が勝ったら、兄貴と一緒に帰らせてもらうぜ❗️』
『じゃあ、私が勝ったら、あなたを逮捕して連れ帰るからね❗️』
『上等❗️』
『こらこらさっちゃん!任務を賭けにすり替えないでくれる?僕が怒られるんだけど!』
残念ながら、本井さんの耳には届いてないようだ。
『ところでマサシくん、さっきから「兄貴」って言ってるけど、どういう意味?』
『どうもこうもねえよ。俺とあんたの隣にいる真は「兄弟」なの❗️』
『えっ・・えええええ‼️』
もの凄い速度で本井さんの顔面がこっちを向いた。
『きょう・・だい?』
『はい。そうです。』
『それは想定外だねぇ。でも、それを証明できるものがあるかい?』
証拠か・・難しいなあ。
正史は何か真実を伝える手があるのか?
『ん〜・・すぐには出ねぇ❗️』
駄目かよ〜。
『今まで正史と来問に起こった状況を順に説明すれば、アンタ達も納得するだろう。』
おお!縁が動いた!
頼むぞ!縁!
『剣山をご注文のお客様〜!準備ができましたので、こちらへどうぞ!』
ちょっと店員さん、タイミング!
『っしゃあ‼️久々の剣山❗️』
『ふふ、楽しみね❗️』
おい、2人!
こっちの真剣な話に興味を持て❗️




