【第四十三話】『人跡未踏』
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第2章エピローグ
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『はぁ・・マジかよ・・』
縁から、僕の記憶から消えていた期間の正史について、話を聞いた。
そして僕の周りで起きた事と記憶の変化を辿って情報を整理すると色々見えてきた。
廃校が消えたあの瞬間から、正史の計画が始まっていたこと。
それより以前から僕は正史の記憶を失っていた。
その後、僕をチャネラーに引き込みたい本井さんの強行により、音無先生の記憶障害が発生。
その記憶を取り戻す一部始終を正史は覗いていた。そして僕と縁の活動をヒントに、「僕の記憶」を最も良い状態で取り戻す策を見つける。
そして、今に至ると。
『俺も最初は信じられなかった。
だが来問、お前の記憶を取り戻すまでに起こった出来事がそれを証明した。』
『確かに、正史は僕に比べて行動派なのはわかるけど、まさか世界にケンカ売って帰ってくるとは・・。』
『確かに、やり過ぎに聞こえてしまうな。
・・・だがアイツの気持ちもよくわかる。
俺が正史と同じ立場でも同じ事をしただろう。
間接的にやり取りしたがあの「ミョウモン」というやつは典型的な「悪」だった。』
『へぇ。縁に「悪」認定されたなら、間違いなくそういう人間なんだろうな。』
『個人的には討伐してやりたいと思ってる。
やれるかどうかは別問題だがな。』
『まあ、僕達高校生風情が関われる規模の話じゃないよなぁ・・
正史のせいでガッツリ関わっちまってるけどさぁ。』
マジで「おおごと」だ。
しかもその辺の大人に頼る事もできない。
『そう言ってやるな。
あれでも、お前の事を心配しての行動だったんだぞ。確かに過激な決断ではあったがな。』
『わかってるよ。
アイツは態度悪いし大食いだし落ち着きないけど、根は優しいヤツだからな。割とな?』
『大食いはあまり関係ないだろう。』
『だな。
大食いといえば、本井さん。
本井さんはチャネラー、つまり「あっち側」の人なんだよなぁ。
・・となれば、僕達とは敵対しちゃう可能性があるんだろ?』
『その可能性は高いな。
特にあっち側のボスとは完全に敵対しているからな。』
『何かあったのか?』
『ぶん殴ってやった。』
『いきなり戦闘❗️』
『成り行きでな。お前の記憶を復活させる時に邪魔をしてきた。』
『どうしてだろ?
僕の記憶が戻る事に何か都合の悪い事でもあるんだろうか。』
『正史の話では「過去の記憶を元に戻す」事自体が今まで無かったそうだ。俺と音無姉さんが初だったらしい。
その辺が関係しているのかもな。』
『ああ、その話なら確かに本井さんから聞いた気がする。』
『そこで一番問題となるのが、チャネラーの人間も記憶を消されている点だ。
正史によれば、この事実自体、チャネラーは知らないらしい。
管理部長以上の極秘手段らしいからな。』
『つまり、本井さん達が僕らに関する記憶を消される可能性もあるって事か。』
『ああ。正史は本井先輩達と面識があり、一緒に仕事をしていたらしいからな。』
『それじゃ、正史はチャネラー側からも孤立させられたって事か。味方ゼロの中でよく今までやってこれたな、アイツ。』
『正史は日常に戻りたいと言っていた。その気持ちだけで今まで一生懸命生きて来たんだよ。』
知り合いだったはずの誰もが自分を知らない世界の孤独感なんて誰も知りようがない。
想像を絶する寂しさとアイツは戦って来たんだろうな。
・・正史、お前今どこにいるんだ?
僕だってお前が心配なんだよ。お前はいつも見えないとこで何しでかすかわからないんだからさ。
『そういえば、今更なんだが来問。お前は実質「チャネラー」らしいぞ?
正史がそう言っていた。』
『え?そうなの?』
『正史本人がお前を「チャネラーにした。」と言っていたからな。何か使える能力とか無いのか?』
『いや、わかんないよ。チャネラーって言っても、何が出来るとか知らないし。
能力についての講習とか、研修とかやってくれないと。そもそもウチらの常識外じゃん。』
『そうだな。
俺の場合は、記憶の世界でしか使えない能力だし、そもそも例外中の例外らしいから、教えられるヤツもいないだろうしな。』
『ああ、あの虹色のやつか。』
『!知っているのか!?』
『いや、ちゃんとは見てないけど。
音無先生の記憶に入る時、俺に渡そうとしたカギが虹色になって先生の中に吸い込まれていっただろ?
後は俺の記憶の中でも縁は虹色のオーラみたいのをまとってたし、ドラゴンも召喚してたよな。』
『見えてたのか!?』
『見えてたってわけじゃないんだけど、意識を失ってた間の出来事は、夢見た時みたいに記憶に残ってるんだよ。』
『そうだったか。お前にも何か例外的な力が生まれてるのかも知れないな。』
『残念ながら自覚してないから、あったとしても今は使えないな。』
『これから俺達は、この世界の管理者と戦う事になるからな、使える力があるなら確認しておきたいところだ。』
『世界の管理者って・・それ、勝算あるのか?』
『あってもなくても戦う事は避けられないな。
正史の宿敵であり、俺がぶん殴った相手だ。
来問、お前も腹をくくるんだな。
そういえば正史が何か切り札を持ってそうな感じで話してたが、期待していいのかどうか。』
『正史任せはハイリスクだぞ!僕達で何とかしないと!』
『まずは正史と合流してからだな。俺達には情報が少なすぎる。』
本井さんから情報が聞けたらいいんだけど、もう僕らはそんな関係ではないんだろう。
本井さんと敵対するのは避けたいけど、会うのは危険すぎるな・・
『ここはいったん解散して、正史が戻って来たらまた3人で話し合おう。』
『そうだな。来問、1人で行動を起こしたりするなよ!』
『そんな事、怖くてできるか!』
僕達はいったん解散して自宅に戻った。
『ただいま〜』
自宅。
記憶を取り戻した今、不自然なことが山ほどあることに気付かされる。
2階の僕の部屋。
部屋の扉から一直線に廊下があり、付きあたりから左側に折り返すように下り階段がある。
この廊下、無駄に長すぎる。僕の部屋は廊下を歩いて突き当たりの方向に部屋が作られているから、廊下の右側の壁には何か意味があるのか・・。
昨日までの僕はそんな疑問すら抱く事なく生活していた。
そして記憶を取り戻した僕は、違う意味でこの廊下に違和感を感じている。
そう、この壁は記憶の修正とともに帳尻合わせされたもの。
本来ここにあったもの。
それは・・
僕は右手を壁に向かって伸ばし、何かを握る仕草をした。
瞬間、右手のひらが光り、そこにドアノブが収まった。
そしてドアノブから壁の模様が染み込むように変わっていき、ドアが姿を現した。
僕は手首を捻り、ドアを開ける・・・




