【第三十九話】『千思万考』
【来問 正史サイド】
『縁先輩❗️
俺は今から兄貴の記憶を呼び戻す❗️
サポートを頼む❗️』
『わかった、任せろッ❗️』
【・・数時間前・・】
『しかし・・・ずいぶんとあっさり来問を連れ出せたものだな。本井先輩が側にいなかったか?』
『ああ、姉ちゃんは「アイツ」の名前で動揺して部屋から出て行ったよ。彼女はいつも僕の想定通りに動いてくれて助かるよ♪』
『あの「ミョウモン」とかいう名前か。』
俺は軽く頷いた。
『姉ちゃんの反応で確信した。名門のクソ野郎はまだ管理部長やってるみたいだな。』
『お前にとってのラスボスなんだろう?』
『ああ、もちろん俺の最終ターゲットだけど、アイツはぶっちゃけチャネラーみんなの敵だからな。』
『ソイツが悪の根源だと言うなら黙ってはいられないが、俺にできる事が果たしてあるのかどうか・・』
『まあ、今はまず兄貴の復活だな。目が覚めたら早速始めるから、頼むぜ❗️』
『それなんだが正史、お前は一体どうやって来問・・お前の兄貴の記憶を治すつもりだ?』
『最初は「真実の記憶」さえ戻ればいいと思ってた。でもそれをストレートにやった場合、兄貴は今ある表層領域の記憶を全て失ってしまう。
SMSに埋め込まれた「偽りの記憶」の上に新たな今の記憶が堆積しているからな。
それを失ったら兄貴はただの「過去の人」になっちまう。』
『じゃあどうするんだ?』
『言ったろ?縁先輩。
アンタがヒントなんだよ!』
『虹色の炎か❗️』
『いや、合ってるようでちょっと違うな。アンタの炎に燃やされたら、兄貴の表層にある記憶は真っ黒コゲになっちまう。』
『じゃあ何なんだ?わかるように頼む。』
『これも兄貴超えの為か、仕方ないな。
・・・縁先輩、アンタは真実の記憶を取り戻しているのに、SMS管理下にある状況は変わっていないし、表層記憶を失っていない。
それなのに、記憶を改ざんされる事はキャンセルできるときた。』
『ふむ。』
『その状況を兄貴にも再現しようと思う。
ただ、兄貴はアンタみたいな炎は出せない。
その代わりチャネラーフラグを持ってるから、今後の記憶を改ざんされることは無い。
となればあとは、縁先輩と同じ状態、つまり記憶の両立だ❗️』
『・・出来るのか⁉️』
『ああ、ひとつだけある。
それは、表層領域と深層領域の記憶の場所を入れ替える、要するに「天地返し」だ❗️』
『・・具体的にはどうするんだ?』
『まずは「真実の記憶」を本人に認識させる。その為には真実に基づく記憶の揺さぶりが効果的だ。それは今まで仕込んできた。
そして覚醒した「真実の記憶」は深層領域から表層へと移動を始める。
縁先輩、アンタの従姉妹の先生のようにな。
その際、表層領域に元からある「偽りの記憶」は「真実の記憶」に接触すると崩壊しちまう。
ここで縁先輩、アンタの出番だ。
まず俺が、深層領域から「真実の記憶」が移動してくる「穴」と同じような穴をもう一個作り出し、表層領域にある記憶を深層領域に突き落とす❗️
それが完了するまで、「真実の記憶」をせき止めて表層記憶との接触を防いでくれ❗️』
『イメージはわかるが、俺にそんな事ができるのか?』
『大丈夫❗️アンタの炎は「真実の記憶」を燃やさないし、自分の身を守る盾にもなる。
その虹色の炎の正体は「真実の記憶」そのものなんだからな。
純粋に真正面からの押し合いみたいなもんだ。
負けないでくれよ!』
『そういう事なら任せてくれ!力比べなら負ける気はない!』
『これで準備は整ったな!
あとは兄貴が起きるのを待つだけだ。』
『それで、来問はいつ目覚めるんだ?』
『ん〜・・兄貴は昔から寝起き悪いからなぁ。』
『・・しばらくかかりそうだな・・』
『待ってる間、飯でも食っておこうぜ。』
・・
・
・
【・・現実時間・・】
『縁先輩❗️
俺は今から兄貴の記憶を呼び戻す❗️
サポートを頼む❗️』
『わかった、任せろッ❗️』
俺はベッドに寝ている兄貴の左側に立ち、縁先輩は反対側にまわった。
『行くぜ❗️』
俺は右手を兄貴の頭へと伸ばし、深層領域のロックキーを右に捻る。
すぐさま縁先輩へ左手を向けロックキーを左にひねる。
縁先輩は直立したまま、意識が記憶領域へと飛んでいく。
(頼む、うまくいってくれよ❗️)
【縁サイド】
気づけば自分の記憶領域にいた。
・・と、息をつく暇もなく目の前の空間が歪み、蒼いフレームと星が散りばめられた夜空のようなデザインの扉が出現する。
(縁先輩❗️今アンタと兄貴の表層領域を繋いだ❗️目の前にある扉が入り口だ、後は頼むよ❗️)
正史のやつ、手際が良いな。
期待してはいたが、またこんな非日常に飛び込む事になるとは・・
この扉を見て、自分が高揚していくのがわかる❗️
『任せろッ‼️』
俺は勢いよく扉を開けて飛び込んだ!
一瞬、目が眩むほどの光。
その後には焼け野原の如く真っ黒な大地が視界を埋め尽くした。マグマのごとく赤熱した石があちこちに転がっている。
「記憶の窓」は大量に空に浮いているが、まるで焦げついたかのように煙を出しているものがいくつかあった。
『何が起きてるんだ!?』
(表層領域に「真実の記憶」が迫ってる!表層領域はもう容量の限界が近いんだ!)
『どうすればいいんだッ⁉️』
(今やるから少し・・待ってろぉぉ❗️)
ゴゴゴ・・・
急に地面が唸り始め、亀裂が入る。
次の瞬間、大規模な陥没が起きた。
直径100mあるんじゃないかと思うほどの穴があき、その勢いで周囲がその中に吸い込まれる。
(縁先輩は落っこちるなよ❗️深層から上がって来る記憶を探して食い止めてくれ❗️)
『わかった❗️』
吸い込まれないよう、一旦穴の場所から距離をおいた。
改めて辺りを見回すが、それらしきものが見当たらない。
まだここまで到達していないのか?
と思った瞬間、再び地面が大きな揺れを起こし始める・・!
揺れはどんどん大きくなり、突然俺の足元が隆起して爆発した!空に打ち上げられた俺は無意識に体から虹色の光が溢れ出し、無傷で着地した。
その爆発した場所には、先程よりは小さいものの、50mはあるだろう、大きな穴が空いた。
そこから、虹色の巨大な腕が姿を現す。
それはまっすぐ空へと伸び、大地に肘をついた。
『あれが・・ッ‼️』




