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【第三十八話】『脚下照顧』

【本井サイド】


どうしよう・・来問くんが連れ去られた。

私のせいだ。

いつも肝心なところでやらかしてしまう自分が嫌になる。


どうしてあの時、来問くんから目を離したんだろう・・


そばにさえいれば、絶対こんな事にはならなかった・・


どうして私は法綱を呼びに行こうと思った?


・・・


・・そうだ❗️


アイツの名前が出たからだ!


名門(みょうもん) 利窯(としがま)ッ❗️


あの憎たらしい変態クソジジイ‼️


管理課のトップなのを良いことに、女性に対するセクハラ行為を絶えず繰り返し、それを邪魔した男は容赦なくクビにする最低野郎。

アイツの指示に従わなかった男性社員は、ほぼ退職に追い込まれている。


私もアイツに何度も襲われかけた。その度に触りたくもないヤツの顔面に何度も拳を打ち込んできた。

しかも、女に殴られたり蹴られたりしても一切処分対象にしないところがキモい。


アイツが部長に就任した時、管理課から男を全員追い出しハーレムを作ろうとしていたらしい。流石にそれは食い止められたらしいが、代わりに自分好みの女だけを集めたレイヤーを作ろうとしているなんていう、ホントかウソかわからない話まで耳にする。


最近は秘密の漏洩防止策という名目で、管理課のオフィスはクソジジイの隠しカメラで溢れかえっている。


とにかくキモい。


ひたすらキモい。


・・・


・・はぁ、思い出しただけで気が滅入ってきた。


でもなぜ、縁くんからアイツの名前が・・?


《来問を救う為の対策を準備しているヤツはいる。》


縁くんはそう言った。

多分、それはマサシくんの事だ。

おそらく縁くんとマサシくんは繋がった・・

そして彼は名門の名前を知っていた・・!?


彼らは私達と敵対する気?

まだ彼の目的がわからない・・


マサシくんは一体何者なのか。

私達チャネラーのことをどこまで知っている?


・・もしかしたら名門の隠し玉の可能性も・・


もし名門側の人間だとしたら、来問くんを狙うのはなぜ?チャネラーフラグの解除でもする気?


名門側ではないとしても、名門にマサシくんの存在と来問くんの状況が知られたら、絶対良くない方向に進んでしまう・・


幸いにも法綱は今回の件について、

「来問くんとマサシくんに関連する内容は上に報告しない」

と言っていたけど、どっちに転んでも「報告しない」は最適解だった。


私が今、最優先に考えないといけないのは・・


来問くんの身の安全!


それが保証されるなら、今は来問くんが縁くんのところにいる事自体を嘆く必要はない。

縁くんが来問くんに下手な事をする訳がない。


今はそう信じよう。

前に進まなきゃ!


『「整った」かな?

さっちゃん。』


『さっちゃん言うな!もう大丈夫ですっ!

それよりそっちの態度はどうなのっ!』


法綱は私と反対の壁側を向いてベッドに転がっていた。

そのまま左手をだるそうに上げる。


なるほど、やる気ゼロだな。


『それなら早速、命令下達だ。』


真面目な話ならこっち向けよ・・


『命令?誰から?』


『そんな事、聞くまでもないんじゃない?ウチらには1人しかいないでしょうよ〜』


・・ああ、やっぱりかぁ


せっかく気持ちを落ち着けたのにッ!


『・・・あんの変態クソジジイですかッ❗️』


『あれでも一応上司なんだから、そんな言い方しないの。

ちゃんと「名門部長」って言わなきゃ〜。』


・・・そういうアンタが小指で鼻をグリグリしながら名前呼んでるのはどうなの?


『・・で、何をやれって言ってきたんです?』


『レイヤー内に出現した不審者の捕獲』


『・・それって・・』


マサシくんの事なんじゃ・・


『ん〜僕にはわかんないや。そもそも不審者かどうかも確認されてないんだもん。』


・・・は?


『何かさ、レイヤー間で不自然なチャネリングされた形跡があって、こっち側に何か侵入してないか確認しろってさ。』


『不自然なチャネリング?』


ベッドに転がっていた法綱はだるそうな表情でこっちに向き直った。

アンタずっとやる気出さないの?


『SMSのチャネリングって、本来は「ベースとレイヤー」が接続されるんだが、何でも「レイヤーとレイヤー」が繋がったらしいログが見つかったんだと。

お隣りのレイヤーを管轄してる真面目なチャネラーさんが報告してきたらしいよ?』


『・・つまり?』


『誰かが侵入したのかどうかも曖昧。そもそも空間接続だけされたバグっていう可能性だってある。

メンテナンス出来ないシステムなんて、バグの温床だからさ〜。


テキトーに報告すればいいんじゃない?』


あの変態クソジジイはともかく、法綱なら間違いなくマサシくんを疑っているはず。


その上でこの態度ってことは、マサシくんの事は隠し通すつもりってことか。

ちょっとだけ見直したわ。


あとは、あのクソジジイがどこまで現状を知っているのか・・


『今、僕達が来問くんを捜索するような動きをするのは良くない。

心配なのはわかるが、ここはひとまず彼らから距離を置くべきだと思うが・・どうする?』


『賛成です!』


『いいねぇ。それじゃ任務開始と行きますか。

・・まずはカフェでも行く?』


『絶対行きませんッ❗️』

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