【第三十一話】『殊途同帰』
【正史サイド】
ふぅん、なかなか楽しそうじゃん。
まあ、僕にとっては全部筒抜けなんだけどね。
学校から離れてくれたほうが、こっちとしてはむしろ都合がいい。
目撃者は必要な人間だけでいい。
あと足りないものは・・ひとつ。
これだけは計算通りに引き出せない。
でも感触はある。うまい具合に周りが動いているおかげだ。
何も言わなくても、こちらの思惑通りに進めてくれている。
だが僕に残された時間はあまりない。
必ず成功させるんだ!
僕と真のために。
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【来問サイド】
本井さんと僕は、それぞれ担任の先生に一言伝えて学校を後にした。
2人とも車の免許も車もないので、当然徒歩で移動している。
行き先は・・・本井さん次第。
とりあえず、人目が気になるから私服に着替えたいんだけど、本井さんどう考えてるんだろう・・
そんな事すら口に出せない根性なしの僕は、違う話題で間を持たせていたが・・
『・・えっ!?法綱さん来ないんですか?』
『来ないよ〜。
だってあの人、ロック中のゲート開いてる時以外は1時間くらいしかこっちにいられないから。』
そんな感じなのか。チャネラーも大変だなぁ。
ま、仕事内容よく知らないけど。
『じゃあ本井さんは?』
『私はほら、あなたと同じだから、こっちにだってずっといられる。
前に言ったでしょ?どっち側でもあるって。』
確かに聞いた。その時は意味があまり分かってなかったけど、こういうことだったんだな。
『まさに私が適任!でしょ♪』
『まあ、他にいませんからね。』
『あーっ、私じゃないほうがいいんだ?』
『そんな事は言ってません!』
・・・ほんとに僕は危ない状況に置かれているんだろうか?
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【法綱サイド】
『法綱〜!いるかぁ!?』
『はいは〜い、こちらにおりますとも。』
『よし、じゃあ全員揃ってるな。
会議始めるぞ!
ブリーフィングルームBに集合❗️』
「それでは、レイヤー保守担当者のブリーフィングを開始いたします。
まず、管理部長から一言お願いいたします・・」
はぁ、また1時間、知った顔同士のお見合いかぁ、つらいなぁ。
「え〜、私の担当レイヤーにつきましては〜・・・」
「・・吾輩の管轄には特に問題は起きていない❗️」
さっちゃんは学校から来問くんを連れ出したころかな?
あのマサシという子供は何者だ?
見た感じまだ中学から高校くらいの年齢だろう。
あの若さで非公式な独自のロック技術を持ち、レイヤー内に長期滞在していられるチャネラーフラグ保有者・・・なのか?
最新の登録者情報にはいなかった。
さらに過去10年の記録も調べたが載っていない、まったくもって謎の存在だ。
この組織には、以前から管理がきちんとされていない無秩序な対応が見え隠れしていた。その辺に何か秘密がありそうだな。
あまり気は進まないが、踏み込んで見るか・・
・・・
『おーい❗️法綱❗️聞いとるのか⁉️』
『聞こえてますのでおかまいなく〜』
『お前の報告の番だ、早くしろ!』
『え〜、現在レイヤー機能については問題ありません、以上で〜す。』
『まったく・・・』
形式的な報告会だと、誰もまともな報告しないからさ〜。僕も真剣に参加したくなくなっちゃうんだよねぇ・・
「報告いたします。私の担当レイヤーでは、しばしばソウルナンバーの喪失と復元が繰り返されるバグが発生しており・・・」
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【縁サイド】
今、事の重大さを知っているのはおそらく俺だけだ。本井先輩も、もう1人いた男も気づかない。いや、知らないだろう。
来問が今回のような事件にどの程度関わってきたのか、アイツ自身の状態が今どうなっているのか、そこまではわからない。
だが、正史の目的が来問にとってリスクである事は間違いない。
俺の知っている正史は、やんちゃだが礼儀はわきまえてる奴だった。
今のアイツの言動は、ただのチンピラのように聞こえるが、その行動は何か一貫しているように見える。
アイツの身に何が起きていたのか。
それを知りたいところだが、今の正史には聞いても答えないだろう。
俺が来問に近づくフリをすれば、正史は止めにくるだろうか・・
とにかくもう一度アイツに会って話をする必要がありそうだ。
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【来問サイド】
本井さんと2人きり。邪魔者はいない。
こんな機会は中々ないかもしれない。
今がチャンスじゃないのか?来問真!
・・・
よし!
法綱さんよりはガードが低い本井さんに、来問奥義「質問ラッシュ」だ!
『どうして法綱さんはこっちに長くいられないんですか?』
『ん〜?
それはね、法綱さんがこの「レイヤー」、簡単に言うと「この世界」の住人じゃないからよ。』
『でも、1時間くらいならいられるって、さっき聞きましたけど。それって、1時間以上いるとどうなるんですか?』
『あら、来問くん食らいついてきましたね♪
そんなに知りたいのなら・・』
『ヒントじゃなくて、直球でお願いします!』
本井さんは「読まれた!?」と言わんばかりに目と口が半開きな表情で振り向いた。
美人が台無しですよ。
無言で一度背を向けた本井さんは、表情をリセットして振り返った。
『・・なかなかやるようになりましたね・・
私の出鼻を挫くとは・・』
『これまでのお付き合いから、本井さんを学習させていただきました♪』
『おっ・・お付き合いぃぃ⁉️』
あっ、本井さんが敏感女子になってる・・
肝心なとこで言葉の選択を誤ったな。




