【第二十一話】『泡沫夢幻』
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第1章エピローグ
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気持ちが落ち着かない僕は商店街をふらふら自転車で周り、結局まっすぐ家には帰らず、いつもの場所で空を眺めていた。
丘の上公園。
僕の始まりの場所。
今日は家に帰っても寝付けないだろう。
それくらいすごい1日だった、ホントに。
音無先生の記憶は無事戻った。
今改めて思い出すと、半日にも満たない時間の中でとんでもない体験をしたんだな。
それに、かなり危ない橋も渡った。
下手をすればミイラ取りがミイラになるところだったかも知れない。
この達成感を誰かに話したい!
遅杉がこの話を知ったら、四方八方に力の限りこのネタを振り撒くんだろうか?
いや、それはないな。
人の記憶の中に入ったなんて話、話したところで誰も信じないだろうし、僕自身、今でも信じられない。
そもそも人の記憶なんていう、最も繊細なプライベートの極みをベラベラと話すような人でなしにはなりたくない。
縁は今日のことをどう思ってるんだろう?
明日、色々聞いてみよう。
謎もまだ残ってるしな。
・・ふぅ。
思えば、この数ヶ月でとんでもない体験をしたものだ。
あの日、ここから見た景色。
廃校が、僕の思い出が詰まった小学校が、みんなの記憶を道連れに消えてしまったところから始まった。
サングラスの・・法網さんだったか。
彼と出会ってから、記憶も景色も瞬きの間に変わっていく、そんな世界だった事をこれでもかと思い知らされた。
本井さんとも出会った。
・・僕と同じだったって話だけど、そこのところ聞いてもいいのかな。
僕はこれから、僕の中にある記憶とどんどんかけ離れていくこの街で、どう生きていくんだろう。
法網さんに選択を迫られた。
『この先、君の未来は2つある。』
本井さんは言った。
『彼と私は「チャネラー」よ。』
結局、あの人たちは何がしたいんだ?
・・そう言えば前に言われたことがある。
『君は世界を管理する者の手からこぼれ落ちた人間だ。運が悪いことにね。』
世界を管理する者?
誰かに管理された世界?
今までは知らなかった。
知る由もなかった。
そんな世界の真実を、ほんの一部の真実を僕は知った。
頭の後ろに組んでいた手をほどいて芝生から体を起こす。
街並みを見下ろすと、突如強烈な光が辺り全体を照らし出した。
反射的に目を閉じる。
再び目を開けた時には、皆がまた何かを失っている事を知りながら。
今の僕には何も出来ない。
僕は横に寝かせた自転車を起こして飛び乗った。
・・僕は、この世界の真実を知りたい。
いや、知らなきゃいけない。
・・・
・・
・
来問真が自転車で駆け降りた後、丘の上公園にひとり街を見下ろす影があった。
『縁夏実くん・・・彼の記憶領域を覗いた時の一件、あの時の記憶解析システムは間違いなく暴走していた。いや、システムが送信した疑似記憶にバグが仕込まれていた、と見るべきか。
何か良くない意思を感じるねぇ。
・・知りたがりの彼なら、いずれ辿り着くだろう。でも、それは今じゃない。』




