【第十六話】『一念通天』
・・
『よし❗️
全ての扉を開け終わったぞ‼️
ミッション完了だ❗️
ハッハッハッ‼️』
見渡す限りの大自然に、人工物はかけらも残っていない。
『さて、帰りはどうなっているんだ?』
そういえば、来問の姿はないし、本井先輩の声も聞こえないな・・
ここには「あの窓」に吸い込まれて落ちて来たんだと思うが・・
『本井先輩ッ❗️終わりましたよッ❗️』
・・・
・・返事は無い、か。
まあ、何とかなるだろう。
木陰に入り、ごろんと地面に大の字になった。
本井先輩に言われた通り、扉のカギを開けてまわったが、あれはどれも俺の記憶、しかも今まで思い出す事のなかったものばかりだった。
そして、どういう訳か来問から受け取ったカギの数と、ここで見つけて開いた扉の数はピッタリ一致していた。
それが全て音無姉さんとの思い出。
開けた扉は消えてしまったが、これでよかったんだろうか。
本井先輩からの頼まれ事は説明不足な上に、常識がひっくり返るような体験だった。
いや・・現在進行中だな。
まだ終わっていない。
無事、家に帰るまでがミッションだからな。
とりあえず本井先輩からの連絡を待つか。
・・・
そんな事を考えながら、ウトウトし始めた時だった。
グワァァン・・
突然、見上げている空に真っ黒な穴が開いた。
『・・・‼️』
そして、無数の窓が飛び出してきた!
『あれは・・⁉️』
黒く淀んだツタのようなものにつながった窓は、どれもが縁めがけて一直線に向かってくる❗️
『何だッ⁉️』
縁は咄嗟に身構えたが、どうすればいいかわからない。
吹き飛ばされるかと思った瞬間、窓は縁の目前で1メートルほど距離をおいてピタリと止まった。
『・・何だ?』
両腕で頭をガードしていた縁は、その前腕の隙間から正面を覗く。
・・窓は縁を取り囲むように一定の距離を置き、宙に静止している。
縁が呆気にとられていると、真っ黒な窓の中からジワっと何かが浮かんで見えてくる。
それは、上の階にいた時に見た映像、偽りの記憶だ。
それに気づいた途端、あの時と同じ激痛が頭を襲ってきた。
『ぐぅああぁぁぁッ⁉️』
縁は頭を抱えてその場にうずくまる。
くっ・・
目を閉じているのに、瞼の内側にまで映像が浸透してくる・・!
そして、ここで得た、思い出した、頭の中の「真実の記憶」にヒビが入り始める・・‼️
この窓から直接流れてくる映像・・・俺の頭の中を書き換えようとしているのか⁉️
この頭痛はお前ら「偽物の記憶」の仕業か❗️
そして、ここにあった俺の「本物の記憶」を扉に閉じ込めたのも・・⁉️
そして、音無姉さんの記憶を壊した犯人・
お前が・・悪の正体かッッ‼️
縁の全身から虹色の炎が吹き出した。
『許さん‼️』
縁の体から吹き出したその炎は一瞬で頭の中に侵入した偽物の記憶を焼き尽くす。
さらに炎の一部は竜を思わせる姿にその身を変え、縁を取り囲む窓に向かって意思があるかのように噛み付いた。
そして再び炎となって燃え移り、繋がっているツタのようなケーブルまで焼き尽くした。
焼かれた窓は灰となって風にさらわれた。
縁自身どういう状況かはよくわかっていなかった。
だが、自分を包み込んでいる虹色の炎からは今まで開いてきた「扉の中の記憶」の気配を感じていた。
縁の気力に呼応し、より一層炎は光り輝く。
『偽物が本物に勝てる訳ないだろうッ❗️』
縁が目で捉えたものめがけて虹色の竜は飛び回り、周囲の窓やケーブルを次々焼き尽くしていく。
運良く炎に触れずに済んだ窓はすかさず退散しようとしたが、縁は見逃さなかった。
『行かせるかッ‼️』
逃げ続けるいくつかの窓は、互いのケーブルをねじるように回転しながら空にある黒い穴へ昇っていく。
絡み合って大木のようになったケーブルに、縁はすかさず飛びついた。
巨木のような淀み色のケーブルを豪快に燃やしながら、縁はもの凄い速度で昇っていく。そしてあっという間に黒い穴まで到達すると、そのふちに掴み掛かり
『燃え尽きろ❗️』
ドガァン‼️
すでに灰と化したケーブルと共に、黒い穴は爆散した。
その衝撃で縁は下に落下するものと身構えたが、逆に空へ空へと飛ばされる。
『くっ・・‼️』
爆発の衝撃は凄まじかったが、体を覆う炎が鎧となり縁を包み込んだ。
そして、そのまま上昇し続け
ざぱぁん❗️
水の中に突っ込んだ。
空の上に飛ばされて水の中とは・・縁は既視感を感じたが余裕はない。
勢いのまま重力を無視して、縁はもの凄い速度で水の中を突き進んでいく。
目も開けられないほどのスピードから来る風圧で息ができない縁は、やがてそのまま意識を失った。
・・
・
・・ドサッ❗️
『縁ィッ‼️』




