【第十五話】『暗中模索』
【少し時間を遡り、来問がいる場所:縁の記憶領域】
『縁が、消えた⁉️』
(これは・・想定外の事象が発生したようだ。)
(えっ⁉️)
『えっ⁉️』
サングラス男からの意外な報告。
(縁くんとテレパシーによる連絡が通じない。おそらく、来問くんの時と同じく深層領域に入った可能性が高い)
それが何かマズいのか?
『僕の時はそれが想定内のような話でしたけど、縁の場合は何か違うんですか?』
(彼はシステムから管理対象外にされた君とは違う。今もシステムの管理下にある。)
それが、何か影響あるのか?
(もし、記憶の辻褄が合わない状況、真実と現実の両方に干渉してしまったら。
システムから管理対象外にされた君とは違い、彼の場合はシステムが強制的に真実との接触を切断しに来る)
それって・・・
(即ち、音無萌音と同じ状態になる可能性がある、という事だ。)
何だよそれ・・
音無先生と同じって
縁も記憶を失う可能性があるって事を言ってるのか・・?
縁が無事に戻って来れないかもしれない状況だと知った僕や本井さんは、アイツを助けるために何か出来ないか考えていた。
『僕も縁のいる場所には行けないんですか!?』
(その方法は多分あるとは思うが、現状ではわからないというのが本音だ。)
サングラスの男からは、意外にも頼りない返事が返ってきた。
(それよりも来問くん、君はもうそこでやるべき事は果たした。何か起きる前に戻ってくるべきだ。)
思わぬ提案に僕は拍子抜けした。
この場でそんな選択肢に誰が乗るか!
縁はバカで脳筋で空気読めなくて超絶マイペースなヤツだけど、僕にとっては大事なクラスメイトなんだよ!
『縁を置き去りになんかしない❗️』
『‼️』
咄嗟に思いついた!
縁を吸い込んだあの黒い日記の窓!
あそこに入れれば、縁のところに行けるかも知れない!
『うぁっ⁉️』
走り出した途端、足元が揺れだした。
ガタガタ音を立てながら、何かが動いている!先程光のケーブルが繋がった窓だ。
そのケーブルは黒く変色し、毒々しいグラデーションが浮き上がる。それは、露骨に良くないものであることをうかがわせる。
警戒色というやつか!?
無数にあるケーブルは、それぞれが鞭を振り回しているかのように波打たせ、その先に繋がった窓を宙に引っ張り出した。
窓の山がどんどん崩れて行く。
そしてその中心、ケーブルの根本にあるのは日記の窓だ。
僕はその窓に向かおうとしたが、それは叶わなかった。
宙に舞ういくつもの窓が、その中心の窓に次々と突撃し、中に吸い込まれていったのだ。
そして日記の窓はまるで閉店時のシャッターのごとく、石化したように色をなくして沈黙する。僕はこの場に置き去りにされた。
(来問くん、大丈夫⁉️)
本井さんは想定外の連続に対応できず、指示は期待できない。
くそっ!
縁っ、無事でいてくれよ!
【再び縁の記憶深層領域】
だだだっ・・
『とうッ❗️』
だだっ広いサバンナのごとき大地をたったひとり疾走する者。
縁はひとりしかいない空間でせっせと扉の鍵開けに勤しんでいた。
『中々の数だ。来問はよくこれだけのカギを集めたものだ。大したやつだよ。』
ハッハッハッと笑いながら、次々と扉を開けてまわる縁。
縁がカギを開けると扉が自分で開き、中に映る過去の映像とともに無数の虹の粒となって弾けていく。
そしてその粒はフワフワと空中を泳ぎながら縁の中に浸透していく。
この広い大自然のような空間にある扉をいくつ解放しただろうか。
最初に扉を開いた時に起こった頭痛は、その後扉を開く度に和らいで行き、今では痛みを感じないほどに回復していた。
『残るカギはあと3つか❗️』
縁のミッションは順調に進んでいた。




