異世界生活の始まりと異変
強く照りつける太陽の光で目が覚めた。
くすぐったいような草の匂いに身体がつつみ込まれる。心地よい風が頬をなでる。
もっと寝ていたい。このままずっと。
そんなことさせまいと言うように蝉のような虫の鳴き声が響く。
仕方なくゆっくりと目を開けた。
「あ、起きましたよ。〇〇さん」
「ほんとだ。大丈夫??△△くん、回復魔法いるかな?」
知らない男女の二人組が俺を囲んでいた。
いや、正確には男の方は見覚えがあるような気がした。でも誰だか思い出せない。弱々しい声の割に冷静そうなそいつに俺は少し違和感を覚えた。
「どうしてこんなところにいたの?こんなひらけた場所じゃあ狙われ放題じゃない。」
白髪タレ目という安心感を与える見た目通りのおっとりとした優しい声。つい聞き入ってしまう。
でも、どこか虚ろな目をしている気がする。あの瞳だけは俺に少しの恐怖感を与えた。
「俺もよくわからない。地獄か転生か選べって言われて転生を選んだら気づいたらここにいた。ここはどこなんだよ。つーかお前ら誰だ。」
「そういえば自己紹介がまだだったね。僕はユウ。」
「私はノア。」
「僕は君と同じでついこの間転生してきたんだ。ノアさんはこの世界の住人らしい。この世界について説明してあげて。」
「もちろん。といっても説明することなんてほとんどないんだけど。この世界はとにかく自然が豊か。野生の動物もたくさんいる。だからこそあなたがここで寝っ転がってるのにはびっくりしたわ。分からないことがあったらその都度聞いて。あと私の種族はエルフだよ。」
エルフ!?言われてみればなのか?転生って異世界なのか?てっきり日本じゃない国に生まれるとか女になるとかかと思ってたけど…
まるでゲームのなかだな。
でも周りはノアの言うとおりただの自然が多いだけの場所に見えるけど…
「それより腹が減った。何か食べ物はないのか。」
どれだけ変な世界でも空腹には勝てないな。
「そうね。食べ物はいつも狩りをして手に入れてるしな…向こうの方コルアの群れがいるからそこにいきましょ。」
「コルアって?」
「鳥みたいなものだよ。昨日僕も狩りについて行ってみたんだ。」
「ふーん。」
その会話を期に無言の時間が流れる。初対面ということもあって俺も警戒しているという節もある。向こうも同じだろう。
しばらく歩くと鳴き声が聞こえてきた。
クエッ、クエッ…
「これかしてあげる。やってみたら?」
ノアが弓矢を差し出してきた。初めてだが意外と使えそうだ。
弓を引く。ギチギチと音が鳴る。
シュッ
矢が一直線にコルアめがけて飛んでいった。
ドサッ
木から落ちたコルアからは真っ赤な血が流れていた。その血は止まることを知らない。
グラッ
急に目の前が真っ暗になる。心臓を鷲掴みにされたような鈍い痛みが走る。
ゲホッゲホッ
は?
苦しい。なんだこれ?
口から血が出てくる。吐血…ケガはしてないはずだ。なんで…
「どうしたの!?」
ノアの声を最後に俺の意識は途絶えた。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
少し長くなってしまいましたがいかがだったでしょうか。竜也の謎の吐血の原因は、竜也は無事なのか。次の話を楽しみにしていてください。




