決断のとき
「…ここはどこだ」
変に遠くに声が響く。急に焦りと不安で苦しくなる。
パッととてつもなくつよい光が襲ってくる。
気がついた時にはもうそいつがいた。
「誰だ!?」
「はじめまして。私はここの管理人だ。先に言っておく。お前は死んだ。」
この世界によく似合う黒髪の女だ。つり目気味のつよい顔が右目にかかる前髪によってさらに不気味さを増す。
でも不思議とその低くてうっとりするような声に惹かれていっていた。
自分の死がなかったように感じるくらいには盲目的だった。
「喜べ。お前には選択肢が与えられた。地獄へ行くか、今までの行いを悔い改め、転生するか。」
静まり返った場所でそう問われてふと我に返る。思い出した。俺は死んでいた。俺の犯した罪、おそらくはあのパシリの件だろう。
悔い改める?そんなの何の意味もないだろ。
でも地獄よりはよっぽどマシだ。
そんな生半可な気持ちで転生を選んだことを後に後悔することなんてこの時の俺は知りもしなかった。
「転生。これで地獄選ぶ奴がどこにいるんだっつーの。」
「…」
「分かった。ただし、きちんと反省することだ。その気がないのならばそれなりの罰がくだるだろう。」
その声は何かを心配するような言葉にも、冷酷に判決を下すような言葉にも聞こえた。
首筋に何かが刺さるような鋭い痛みが走る。
悶絶する間もなく俺の意識はそこで途切れた。
「この世界のルールは絶対ーーー」
管理人と名乗る女の寂しそうな言葉は彼の耳には届かない。
読んでくださりありがとうございました。いよいよ次回からは竜也の異世界での生活がスタートします。
お楽しみに。




