第九花「試作ゲーム完成と新しい香り!」
私は染井 芳乃!
ゲーム開発部、ついに“開発”がスタートしました!
目標は――まずは遊べるミニゲームを作ること!
◆
「じゃあ、さっそく作っていこう!」
私の一言で、部室の空気が一気に引き締まる。
「私は仕様の細かい部分を詰めるわね」
芽草ちゃんはノートを開き、ルールの調整を始める。
「では、プログラムの土台を作ります」
睡蓮さんはパソコンに向かい、キーボードを静かに打ち始めた。
「……キャラ、描く」
翔ちゃんはスケッチブックとタブレットを広げる。
「私は……テストとアイデア出し!」
……ちょっとふわっとしてるけど、できることをやる!
◆
数時間後――
「見てください、基本的な動作はできました」
睡蓮さんが画面をこちらに向ける。
「おおっ!」
画面には、カラフルな動物のマスが並んでいた。
「これ……翔ちゃんの絵!?」
「……うん」
うさぎ、ねこ、くま――
どれもかわいくて、見ているだけで楽しくなる。
「タップしてみてください」
私は恐る恐る画面に触れる。
同じ絵がつながっているところを押すと――
ぽんっ、と軽い音とともに消えた。
「消えた!!」
「いい感じね」
芽草ちゃんも満足そうに頷く。
「ただ、まだスコアや時間制限は未実装です」
「じゃあそこも入れていこう!」
◆
さらに作業は続く。
「コンボ判定、こんな感じでどうかしら?」
「……いいと思う」
「では、スコア計算に反映させますね」
「このエフェクトどうかな!?キラッてするやつ!」
「……かわいい」
「背景、もう少し明るくしてもいいかもね」
「調整します」
みんなの声が重なっていく。
最初はバラバラだった作業が、少しずつひとつの形になっていく。
◆
そして――
「……できました」
睡蓮さんが、静かに言った。
「え……?」
「試作版ですが、“遊べる状態”です」
「やったぁぁぁ!!」
私は思わず大声を上げた。
「ほんとにゲームになってる……!」
画面には、かわいい動物たち。
タップすると消えて、スコアが増えていく。
時間もカウントされている。
「すごい……すごいよみんな!!」
「まだ改良の余地はあるけれど、第一段階としては上出来ね」
「えぇ、基礎は完成です」
「……楽しい」
翔ちゃんが小さく呟く。
「よーし!みんなで遊ぼう!!」
順番にプレイしていく。
「あっ!ここつながる!」
「その消し方だとコンボになるわよ」
「いいスコアですね」
「……もう一回やりたい」
笑い声が、部室に広がる。
ゲーム開発部――
初めての“作品”が、動き出した瞬間だった。
◆
その頃――
部室棟・一階の掲示板。
「……ゲーム開発部……ですか……」
小柄で、萌え袖の女の子が、掲示板を見上げていた。
指先で、そっと張り紙に触れる。
「……ちょっと、気になる……」
ふわりと揺れる袖。
その瞳は、ほんの少しだけ――
期待の色を帯びていた。
新しい“何か”の気配が、
静かに、近づいている。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




