第十花「早くも新入部員!?」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと、星咲 睡蓮さんと、糸刃 翔ちゃんと――
ついに、ゲームの試作品を完成させたよ!
まだまだ改良は必要だけど、“遊べるゲーム”ができたってだけで、すごく嬉しくて。
「ねぇねぇ!ここもうちょっとこうしたらどうかな?」
「いいですね、演出として強化できます」
「スコアバランスも調整したいわね」
「……このキャラ、もう少し表情増やす」
完成したあとも、みんなでわいわい話しながら改良案を出し合っていた。
そんなとき――
「……あら?」
睡蓮さんが、ふと扉のほうを見る。
◆
部室棟・ゲーム開発部前。
「……ここが」
萌え袖の小柄な少女が、扉の前で立ち止まっていた。
少し緊張しているのか、手元の袖をぎゅっと握っている。
そのとき――
ガチャッ。
扉が開いた。
「えっ……!」
中から出てきたのは、私たち。
「……あれ?」
私は目の前の少女に気づいて首をかしげる。
「どうしたの?誰か探してるの?」
「……あ、その……」
少女は少し戸惑いながら、視線を泳がせる。
「掲示板で……見て……その……ゲーム開発部……」
「えっ!?」
私は思わず一歩前に出た。
「もしかして……入部希望!?」
びくっと肩を揺らす少女。
でも――
小さく、こくりと頷いた。
「っ……!」
「みんなー!!来て来て!!」
私は勢いよく部室の中に呼びかける。
「どうしたの?」
「何かあったのかしら」
「……?」
三人がこちらに集まってくる。
「入部希望の子だよ!!」
「まあ」
「本当?」
「……!」
三人の視線が一斉に少女に向く。
「えっと……よかったら中、どうぞ!」
私はにっこり笑って、扉を大きく開けた。
少女は少し迷ったあと――
「……おじゃまします」
小さな声でそう言って、一歩踏み出した。
◆
部室の中。
「じゃあ、自己紹介しよっか!」
私は明るく言う。
「私は染井 芳乃!ゲーム開発部の部長……じゃないけど、最初に作った人!」
「城津 芽草よ」
「星咲 睡蓮です」
「……糸刃 翔」
順番に名前を伝えていく。
そして――
全員の視線が、少女へ。
「えっと……」
少女はぎゅっと袖を握りながら――
「花森……菫、です……」
小さな声で名乗った。
「花森 菫ちゃんだね!よろしく!」
「よ、よろしくお願いします……」
少し緊張している様子だけど、その声はどこか澄んでいて心地いい。
「それで、どうしてうちの部に?」
芽草ちゃんが優しく聞く。
「その……音楽、やってて……」
「音楽?」
「……はい。作曲とか……少し……」
「っ!」
私は思わず目を輝かせた。
「もしかして……サウンド担当!?」
「……えっと……はい、そういうの……できます……」
「すごい……!」
翔ちゃんがぽつりと呟く。
「実は……いくつか賞も、いただいたことがあって……」
「えっ!?」
「まあ、それは心強いですね」
睡蓮さんが上品に微笑む。
「ちょうどサウンド担当を探していたところなのよ」
芽草ちゃんも納得したように頷く。
「ねぇねぇ!よかったら一緒にゲーム作らない!?」
私は身を乗り出して言った。
少しの沈黙。
菫ちゃんは、部室の中を見渡す。
楽しそうに並ぶ機材。
笑っている私たち。
机の上の試作ゲーム。
そして――
「……はい」
小さく、でもはっきりと頷いた。
「やったーーー!!」
思わず声が弾む。
「これで、五人だね!」
ゲーム開発部に、新しい仲間が加わった。
音を紡ぐ少女――花森 菫。
その加入は、きっとこのゲームに
“新しい命”を吹き込む。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




