第六十七花「次の景色へ」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
私と芽草ちゃんはシナリオ、睡蓮さんはプログラム、翔ちゃんはイラスト、菫ちゃんはサウンド、リリィちゃんはデバッガーで、頑張っています!
◆ 十月・放課後・ゲーム開発部部室
カタカタカタ……
部室には、今日もキーボードの音が響いている。
「……ここ、もう少し演出を増やせます」
睡蓮さんが画面を見ながら言う。
「背景の光を動かす感じ?」
私は椅子をくるっと回して聞き返す。
「えぇ、場面転換を自然に見せられるかと」
「いいわね」
芽草ちゃんが頷く。
◆
「じゃあシナリオも少し調整しようか」
私はノートを開く。
「このシーン、もっと感情を出したいかも」
「……ここ?」
翔ちゃんがスケッチブックを見せる。
そこには、新しい表情差分。
少し泣きそうで、
でも優しく笑っている顔。
◆
「わぁ……!」
私は思わず目を輝かせる。
「すごい……この顔だけで気持ち伝わる」
「……頑張った」
翔ちゃんが少し照れながら言う。
◆
「なら、ここに音を足します」
菫ちゃんが静かに言う。
「小さいピアノ音」
「余韻、強くなると思う」
「絶対合う!」
◆
「……あの」
リリィちゃんが遠慮がちに手を挙げる。
「このルート、少しだけ説明不足かもです……」
「どこどこ?」
◆
リリィちゃんはノートを見せる。
「初見だと、ここで迷う人が多いと思います」
「なるほど……!」
私は感心する。
「やっぱりリリィちゃん観察力すごい!」
「ひゃぅ……!」
リリィちゃんは顔を赤くする。
◆
「でも本当に助かるわ」
芽草ちゃんが優しく言う。
「作ってる側だと見えなくなる部分もあるもの」
「は、はい……!」
◆
その時、
ガラッ
部室の扉が開く。
「あら、みんな頑張ってるわね」
「先生!」
風信子 桃花先生が資料を抱えて入ってきた。
◆
「差し入れ持ってきたわよ」
先生が机に袋を置く。
「太陽光クッキー!」
私はぱっと立ち上がる。
「わーい!」
◆
「ちゃんと休憩もしなさいね」
先生は少し笑いながら言う。
「集中しすぎると、視野が狭くなるから」
「はーい!」
◆
みんなでクッキーを食べながら一息つく。
「……なんか」
私は窓の外を見ながら呟く。
「前より自然に話せるようになったね、みんな」
◆
「そうね」
芽草ちゃんが頷く。
「最初は遠慮ばかりだったけど」
「今はちゃんと意見を言い合えてる」
◆
「……居心地いい」
翔ちゃんがぽつり。
「えへへ」
私は笑う。
「ゲーム開発部、最高だね!」
◆
「えぇ」
睡蓮さんが微笑む。
「ここは、いい場所です」
「……うん」
菫ちゃんも小さく頷く。
「落ち着く」
「わ、私もです……!」
リリィちゃんも続ける。
◆
先生はそんな私たちを見て、
少しだけ目を細めた。
「いい部活になったわね」
◆
夕焼けが部室を赤く染める。
笑い声。
キーボードの音。
紙をめくる音。
少しずつ、
でも確かに前へ進んでいく時間。
◆
――次の景色は、きっともっと面白い。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




